2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 俊之 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 教授 (80142313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 理行 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (60294112)
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Keywords | 癌 / 骨転移 / レプチン / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
1前立腺癌の骨転移モデルを用いてのレプチン受容体の同定 臨床的には、乳がんが骨吸収性骨転移を来たすのに対し、前立腺がんでは、造骨性骨転移を来たすことが知られている。したがって、前立腺がんの骨転移の微小環境を理解するためには、前立腺がん骨転移動物実験モデルの樹立が必須である。研究代表者らは、ヒト前立腺がん細胞に活性型STAT3を導入すると、同細胞が、造骨性骨転移を形成することを見出している。そこで、マイクロアレイを用いて、STAT3導入細胞が発現する遺伝子を網羅的に検索した結果、レプチン受容体の発現が増加していることが見出された。したがって、前立腺がんの骨転移には、レプチンシグナルが関与していると推察された。 2骨転移環境下におけるレプチンシグナルの関与に関する検討 骨微小環境におけるレプチンが、転移した前立腺がん細胞と骨組織に対してどのような役割を果たしているかを明らかにするために、骨芽細胞および破骨細胞に対するレプチンの効果を検討した。その結果、レプチンは、骨芽細胞の分化を促進し、骨芽細胞の石灰化能を著明に増強した。これに対して破骨細胞の分化に対しては、レプチンは抑制作用を示した。これらの実験結果は、レプチンシグナルが、骨吸収を抑制し、骨形成を促進することにより、前立腺がんの骨形成作用を促していると示唆される。これに一致して、STAT3過剰発現前立腺がん細胞の培養上清も骨吸収を抑制し、骨形成を促進した。この効果は、抗レプチン抗体により阻害された。以上の研究結果より、前立腺がんは、レプチンシグナルを活性化することにより、造骨性転移を形成すると考えられた。
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Research Products
(4 results)