2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014061
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 扶美 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (60335445)
枝松 裕紀 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (70335438)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / ras癌遺伝子 / rap1癌抑制遺伝子 / ホスホリパーゼC / 化学発癌 / グアニンヌクレオチド交換因子 / X線結晶解析 / イン・シリコ創薬 |
Research Abstract |
1 Ras/Rap1標的蛋白質ホスホリパーゼCε(PLCε)ノックアウトマウスがras癌遺伝子依存性の皮膚化学発癌に抵抗性を示す分子機構を解析した。活性型raS癌遺伝子を持つ大腸癌や膵臓癌の培養細胞にて、RNA干渉法を用いてPLCεの発現を抑制しても二次元培養の条件では増殖抑制は観察されなかった。PLCεノックアウトマウスで、ホルボールエステルTPA処理により誘導される皮膚基底層細胞の増殖と肥厚が強く抑制される分子機構を解析した。ノックアウトマウス皮膚ではTPA処理によって誘導される顆粒球/好中球の浸潤等の炎症反応やケラチノサイトのEGF受容体のリン酸化の顕著な低下が認められた。上記結果から、発癌プロモーションにおいて、PLCεが炎症反応を介してケラチノサイトの増殖に関与する事が示唆された。 2 Rap1/Rap2特異的グアニンヌクレオチド交換因子RA-GEF-1と2の生体内機能解析のため、ノックアウトマウスを作製した。RA-GEF-1ノックアウトマウスは、胎生早期致死性を示したので、組織特異的ノックアウトを行なった。RA-GEF-2ノックアウトマウスは生存可能であり表現型を解析した。 3 M-Ras及びそのH-Ras型アミノ酸置換変異体の高次構造解析を通じて、GTP結合型Rasの中に標的蛋白質との結合能力を有する型(state2)と有しない型(state1)が相互変換可能な状態で存在する事を見い出し、state1の高次構造の決定に世界で初めて成功した。State1は、GTPのγ-リン酸基とRasのセリン-35残基側鎖との結合が解離し、低分子有機化合物が挿入可能なポケットが生じていた。このポケットに嵌入しstate1を安定化する低分子化合物をインシリコ・スクリーニングにより同定し、この物質が試験管内でRasとその標的蛋白質Rafとの結合を阻害することを証明した。
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