2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014061
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
片岡 徹 Kobe University, 医学研究科, 教授 (40144472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 扶美 神戸大学, 医学研究科, 助教 (60335445)
枝松 裕紀 神戸大学, 医学研究科, 助教 (70335438)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / rasがん遺伝子 / rap1がん抑制遺伝子 / ホスホリパーゼC / 化学発がん / グアニンヌクレオチド交換因子 / X線結晶解析 / インシリコ創薬 |
Research Abstract |
1,PLCεノックアウトにより、ジニトロフルオロベンゼンをハプテンに用いるマウス接触皮膚炎モデルでの炎症反応が抑制されるメカニズムを解析した。PLCεがインターロイキン17等のT細胞由来サイトカイン依存性に皮膚の角化細胞及び線維芽細胞から炎症性サイトカインの発現を誘導することにより炎症反応促進作用を持つことを培養角化細胞と真皮線維芽細胞を用いて示した。 2,PLCεを皮膚角化細胞特異的に過剰発現するトランスジェニックマウスがヒトの乾癬に酷似した慢性皮膚炎を発症することを発見した。発症時期前後の解析から、角化細胞でのPLCε過剰発現がヒト乾癬発症との関係が報告されているインターロイキン23等の角化細胞での産生とインターロイキン22産生T細胞の皮膚浸潤を誘導することがわかった。以上の結果から、PLCεが皮膚炎症反応に普遍的機能を有することが示された。 3,GTP結合型Rasのstate1(不活性型)の持つ特異的ポケットに陥入し安定化することによりRasの機能を阻害する2種類の母核構造を持つ低分子化合物の有機化学合成による構造展開を進め、Ras阻害活性の高い化合物を得た。これらの化合物がrasがん遺伝子を持つがん細胞の足場非依存性増殖能力、フォーカス形成能力、低血清濃度下での増殖能力、及び細胞内Ras下流キナーゼMEK, ERKの活性化を低濃度で阻害し、ヌードマウスに移植したヒト大腸がんの増殖を経口投与で強く阻害することを示した。 4,X線結晶解析により、H-Ras-GTP本体及びM-RasとH-Rasで異なるアミノ酸残基を入れ替えた複数の変異体の高次構造を決定することにより、state1とstate2の間の構造遷移にグアニンヌクレオチドを介した2つのスイッチ領域間の相互作用が重要な機能を有する詳細な分子機構を解明した。
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