2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014066
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10204827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 英樹 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20372691)
佐藤 朗 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70464302)
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Keywords | Wnt5a / 胃癌 / ラミニン5γ2 / 細胞運動 / 転移 / JunD |
Research Abstract |
Wnt5aはがん促進作用とがん抑制作用の両面を有することが明らかになってきている。Wnt5aノックアウトマウスから調製した線維芽細胞ではWnt3a依存性のβ-カテニン経路が促進されることから、Wnt5aが、がん抑制作用を有することが支持された。一方、これまでの私共の解析から、Wnt5aの発現は胃癌と前立腺癌の悪性化の増強に関与していることが明らかになっている。胃癌細胞において、Wnt5aは蛋白質リン酸化酵素であるPKCとJNKの活性化を介してラミニン5γ2の転写レベルと蛋白質レベルでの増加を促進した。さらに、Wnt5aはラミニン5γ2のプロモーターへのJunDの結合を促進することにより、ラミニン5γ2の発現を促進した。また、スキルス型胃癌の臨床検体において、Wnt5aとラミニン5γ2の両者が高発現している症例が有意に高いことが明らかになった。ラミニン5γ2をノックダウンした胃癌細胞株をヌードマウスの胃に移植したところ、腫瘍増殖能には変化は無かった。一方、脾臓に移植して肝転移を観察したところ、ラミニン5γ2をノックダウンした胃癌細胞株は野生株に比して、転移能が減弱した。これらの結果から、Wnt5aにはがん促進作用があり、Wnt5aによる胃癌の細胞運動・浸潤能促進にラミニン5γ2の発現を介する可能性が示唆された。したがって、Wnt5aは胃癌において、悪性度判定のマーカーになると共に、治療のための分子標的になる可能性が考えられた。本年度の研究は順調に進捗しており、十分な成果が得られたと考えている。来年度は、癌の浸潤転移におけるWnt5aの役割をさらに明らかにする予定である。
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Research Products
(16 results)