2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014066
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菊池 章 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10204827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 英樹 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20372691)
佐藤 朗 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70464302)
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Keywords | がん遺伝子 / がん抑制遺伝子 / Wnt5a / 胃癌 / 転移 / 細胞接着斑 / インテグリン / 細胞周期 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であるので、これまでの研究成果を臨床に応用する視点で解析を行った。Wnt5aの過剰発現は胃がんの悪性度と予後および前立腺がんの再発率に相関した。また、ヌードマウスを用いたin vivo実験で、Wnt5aノックダウン胃がん細胞は転移能が抑制された。したがって、Wnt5aはがんの浸潤・転移に関与することが決定的となり、がんの悪性度判定のマーカーや治療のための分子標的になる可能性が考えられた。Wnt5aは細胞接着斑のターンオーバーを促進することにより、細胞運動と浸潤・転移能を亢進した。その分子機構として、Wnt5a受容体Frizzled2がDvlを介してAPCと複合体を形成し、さらに、DvlとAPCが細胞接着斑のFAKやパキシリンと結合し、活性化することが明らかになった。また、Frizzled2がインテグリンと隣接して局在する事も見いだした。これらの結果は、Wnt5aがインテグリンシグナルと共に、細胞の接着や運動を制御する可能性を示唆した。現在、抗Wnt5a抗体が、がん細胞転移抑制作用を有するか否か、ヌードマウスを用いたin vivo実験で確認している。 がんはしばしば細胞周期の異常によっても発症する。そこで、Wntシグナルによる細胞周期制御についても解析を行った。Wntシグナルの構成分子であるDvlが細胞分裂期において、中心体と紡錘糸、キネトコアに局在した。Dvlの新たな機能として、紡錘糸の傾きと分裂中期のチェックポイントの制御に関与することが明らかになった。
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