2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17014069
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉村 昭彦 Keio University, 医学部, 教授 (90182815)
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Keywords | チロシンキナーゼ / STAT / 家族性変異 / 発がん / Spred / 神経繊維腫I型 / Ras / ERK |
Research Abstract |
Sprouty/Spredファミリーはショウジョウバエから哺乳類まで保存されたERKシグナルの負の調節因子である。一昨年度の研究ではじめてヒトにおいてSPRED1の変異を発見した。本年度はベルギー、フランス、アメリカとの国際共同研究において、カフェオレ斑を持つが、NF1遺伝子に変異を認めないNF1様患者での大規模な塩基配列決定を行い、実際に変異が複数発見された。また孤発例でNF1に変異のない例についてもシークエンシングを行った。これらの変異体cDNAを発現ベクターにクローニングし機能解析を行った。2432のNF-1様患者を調べたところ、1318人にNF-1の変異が認められなかった。そこでSPRED1の塩基配列を決定したところ34人にLOFの変異が認められた。ほとんどはナンセンス変異によるC末側欠失変異である。NF1様患者の2.6%にSPRED1遺伝子の変異が認められる。SPRED1に変異を持つ患者は、カフェオレ斑、腋窩の雀卵斑、そばかす,知能障害、腱しょう巨細胞腫,乳がん,卵巣がん、脂肪腫,骨髄性白血病などを示していた。一方10例でミスセンス変異(一部数アミノ酸の欠失)が認められた。見つかった変異型SPRED1が機能喪失型であるかどうかを検討するために、野生型SPRED1(WT)と変異型SPRED1を用いて、生化学的な機能解析を行った。293T細胞においてin vitro Raf1キナーゼアッセイ、Elkレポーターアッセイを行ったところ、ナンセンス変異体はFGFおよびEGFによるERK経路の活性化を全く抑制できなかった。一方ミスセンス変異体10例のうち7例では、ERK活性化の抑制効果は野生型と変わらなかった。しかしEVH1ドメインに5アミノ酸が欠失されるc242_256delおよびT102R置換体、さらにC末端SPRドメインのP415A変異体では活性の低下が認められた。これらの変異体は未知のSpred機能の検索に有用と考えられた。
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Research Products
(7 results)