2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん組織におけるリンパ管・血管新生の共通の分子機構
Project/Area Number |
17014078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90312321)
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Keywords | がん / 血管新生 / リンパ管新生 |
Research Abstract |
がんの制御を目指し、がんの生物学的特性である「発生(発がん)」、「増殖」、「進展」を考慮し、本研究においては、発がんに続くステップ「増殖」及び「進展」、さらに遠隔転移においてその病態形成の中心的役割を果たしている『血管新生』『リンパ管新生』に着目し、がん組織におけるリンパ管・血管新生の共通の分子機構を明らかにすることを目指し研究を進めてきた。平成17年度は(1)リンパ管内皮特有な分子であるマウスLYVE-1(Lymphatic vessel endothelial hyaluronan receptor-1)に対するモノクローナル抗体の作成に成功した。このLYVE-1抗体で蛍光細胞分離装置(FACS)を用いてマウス胎児より発生過程でのリンパ管内皮細胞を純化、単離することが可能となった。純化・単離されたリンパ管内皮細胞の解析で今まで血管系で重要と考えられていたシグナルの受容体(VEGFR1,VEGFR2,TIE2)などがLYVE-1陽性のリンパ管内皮細胞にも同等量発現していることを見出した。このことは、血管新生・リンパ管新生には共通の分子機構があることを強く示唆する結果であると考えている。特に、血管内皮細胞とリンパ管内細胞に発現するTie2受容体のリガンドであるアンジオポエチン(Ang)シグナルがリンパ管新生にも重要であることを明らかにした。 リンパ管研究が血管研究に比較して大きく遅れている理由の一つとして、その細胞株の有無も一つの起因としてあげられている。血管、リンパ管の比較にはその細胞内シグナルの比較も必須であるため、ヒトリンパ管腫よりリンパ管内皮細泡の細胞株樹立に成功した。この細胞株と複数の血管内皮細胞株で発現する分子の比較険討を行ったが、今まで血管系で重要と考えられていたシグナルの受容体(VEGFR1,VEGFR2,TIE2)などがリンパ管内皮細胞株にも同等量発現していることを見出し、このことからも、血管新生・リンパ管新生には共通の分子機構があることが確認できた。
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Research Products
(7 results)