2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん組織におけるリンパ管・血管新生の共通の分子機構
Project/Area Number |
17014078
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾池 雄一 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (90312321)
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Keywords | 血管新生 / リンパ管 / 転移 |
Research Abstract |
がんの制御を目指し、がんの生物学的特性である「発生(発がん)」、「増殖」、「進展」を考慮し、本研究においては、発がんに続くステップであり、予後規定因子として重要な「増殖」及び「進展」、さらに遠隔転移においてその病態形成の中心的役割を果たしている『血管新生』『リンパ管新生』に着目し、血管・リンパ管新生の分子機構・下流シグナルの相違を明らかにし、血管新生及びリンパ管新生制御による腫瘍増殖、浸潤及び転移抑制を目指すために研究を進めている。本年度は、アンジオポエチン様因子(ANGPTL)ファミリーのANGPTL2が正常組織に比較して様々ながん細胞株で発現が増加していること、マウス皮膚において化学物質誘導で生じるがんでもその発現が誘導されること、低酸素や低栄養状態でその発現が誘導されること、その生物学的作用として血管・リンパ管新生作用、単球遊走能促進を示すこと、マウス個体での過剰発現により単球の接着が亢進した炎症時に見られる透過性の亢進した病的な血管、ドレナージ機能低下が示唆させる径の拡大したリンパ管が誘導されることなどを見出した。さらに、ANGPTL2がマウス担がんモデルにおいてがんの増大、進展、転移に関わっていること、肺がん、乳がん、腎臓がんなどのがん患者で正常人に比較してANGPTL2の血中濃度が有意に高いことを見出し、ANGPTL2が新たながんの治療標的因子もしくは早期診断、予後検討マーカーになりうる可能性を見出した。現在、Angpt12の抑制が、がんの増大、進展、転移抑制への治療につながる可能性を考え、中和活性を有する抗体の作成を目指している。
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Research Products
(3 results)