2005 Fiscal Year Annual Research Report
ラミニンの機能ペプチドによるがん細胞の浸潤転移メカニズムの解明
Project/Area Number |
17014081
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
野水 基義 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (00311522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 純司 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (60200721)
高木 充弘 東京薬科大学, 薬学部, 助手 (90267493)
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Keywords | ラミニン / 基底膜 / CD44 / シンデカン / がん転移 |
Research Abstract |
我々の独創的なアプローチによって同定されてきたラミニンの機能ペプチドの中で、膜貫通型プロテオグリカンであるシンデカンやCD44と相互作用する活性ペプチドを用いて、プロテオグリカンを介したがん細胞の浸潤転移メカニズムの解明を目的に、細胞内シグナル伝達の視点から解析を行った。本年度は、ラミニンの機能ペプチドは、シンデカンと相互作用するHA3G756(KNSFMALYLSKGRLVFALG)とCD44と結合するA5G27(RLVSYNGIIFFLK)に注目して研究を行った。ラミニンα5鎖のペプチドA5G27がCD44に結合し、がん転移を抑制することを見いだし、このA5G27ペプチドがFGF2のヘパリン結合と細胞への作用を抑制すること、FGF2を介した細胞内タンパク質のチロシンのリン酸化を抑制することを見いだし、Hibino, S.ら、Cancer Res.,65,10494-10501,2005に報告した。また、ラミニンα3鎖のペプチドHA3G756はループ部位に位置し、シンデカンに結合して細胞の遊走を促進することを報告し(Yokoyama, F.ら、Biochemistry,44,9581-9589,2005)。さらに、このペプチドの活性中心部位をループ構造をとるように環状化したペプチドを作成したところ、鎖状のものに比べ遙かに強いヘパリン結合活性と細胞接着活性が得られ報告した。現在、この環状ペプチドを用いてがん細胞の浸潤転移に及ぼす影響を検討中である。本研究結果は、我々が同定したラミニン機能ペプチドを用いることで、シンデカンやCD44を介したがん細胞の浸潤転移の制御機構の解析につながることを示すもので、ラミニン分子内のクリプティックペプチド(切断されてはじめて活性を発現するペプチド)の生理機能の解明と全く新しいタイプの抗ガン剤の開発へとつながるものである。
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Research Products
(6 results)