2005 Fiscal Year Annual Research Report
がんで異常亢進するシアリダーゼ遺伝子ノックダウンによるアポトーシス誘導機構
Project/Area Number |
17014084
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮城 妙子 宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 部長 (50006110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩崎 一弘 宮城県立がんセンター(研究所), 生化学部, 共同研究員 (70390896)
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Keywords | 癌 / 酵素 / 糖鎖 / 遺伝子 / シアリダーゼ / シグナル伝達 / シアル酸 / アポトーシス |
Research Abstract |
糖蛋白や糖脂質からシアル酸を脱離するシアリダーゼは、がんの悪性形質に大きく影響を与えていることが従来から指摘されてきた。しかし、その実体については明らかとなっていなかった。最近、われわれは哺乳動物シアリダーゼ遺伝子の同定と解析を通じて、がんにおけるシアル酸変化の機構と意義の解明を進めてきた。現在まで、4種のシアリダーゼ遺伝子が同定され、それぞれ酵素学的性状や細胞内局在が異なるシアリダーゼをコードしていることが明らかになっている。ヒトではNEU1,NEU3,NEU4シアリダーゼの発現が検出されるが、そのうち、我々がクローン化したNEU3についてはこれまで、ガングリオシドを特異的に脱シアリル化すること、形質膜ミクロドメインに局在すること、各種ヒトがん組織において発現が著しく亢進していること、高発現NEU3がアポトーシスを抑制していることを明らかにしてきた。本課題では特にNEU3ががん細胞のアポトーシスを抑制する分子機構を検討した。その結果、MEU3特異的siRNAを導入すると、がん細胞が特別の刺激もなく自ら細胞死に陥ること、Ras活性が低下することがわかった。一方、NEU3高発現はRasの活性化をもたらし、アポトーシスを抑制するだけでなく、がん細胞の接着や浸潤・運動をも亢進することが明らかになった。NEU3の特異的な基質であるガングリオシドの変化とこれらの細胞現象との関連を調べると、NEU3高発現細胞では、酵素反応産物であるラクトシルセラミドが蓄積し、それがEGFR等の増殖因子レセプターのリン酸化を亢進し、Rasを活性化していることが推察された。さらに、NEU3酵素蛋白がEGFR等と分子間相互作用を通じて、そのシグナルを活性化している可能性も示唆された。
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Research Products
(7 results)