2007 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンキナーゼシグナルとがん細胞の接着・運動制御
Project/Area Number |
17014086
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
堺 隆一 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 細胞増殖因子研究部, 部長 (40215603)
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Keywords | 足場非依存性 / 転移・浸潤 / Srcキナーゼ / CDCP1 / Cortactin / p130Cas / チロシンリン酸化 / 細胞接着 |
Research Abstract |
肺がん細胞株のうち足場非依存性の強い一群において,浮遊培養下に顕著なチロシンリン酸化を受ける蛋白質としてCDCP1を同定した。CDCP1の発現抑制により,肺がん細胞A549の浮遊状態におけるアポトーシスが誘導され,ソフトアガーのコロニー形成能も抑えられた。逆にCDCP1とFynを発現させることにより足場依存性の細胞株が足場非依存性を獲得したことから,CDCP1は肺がん細胞の足場非依存性に関わることが示され,さらにこの過程にはアポトーシス関連分子PKCδが関与することを見いだした。FynによりCDCP1がチロシンリン酸化すると,PKCδをFynとの複合体にリクルートし,その結果PKCδがチロシンリン酸化を受けることが足場非依存性に重要であることを示した。CDCP1の発現抑制は,マウス尾静脈注射の系でA549肺がん細胞の転移能を著明に低下させ,CDCP1が実際の腫瘍の転移の過程に関わる分子であることが明らかになった。ヒトスキルス胃がんの系でも,CDCP1が強くチロシンリン酸化を受けており,CDCP1の発現抑制が同所性に移植されたスキルス胃がんの漿膜側への浸潤や腹膜播種を抑制した。 Srcキナーゼの基質分子Cortactinは,invadopodiaなど転移・浸潤に関わる構造に局在してチロシンリン酸化を受けることから、転移・浸潤における役割に興味が持たれている。スキルス胃がん細胞において強くチロシンリン酸化を受けたCortactinの発現をRNAiにより抑えると,むしろ細胞運動能が著明に充進した。これに伴ってp130Casのチロシンリン酸化の著しい亢進が観察されたが,Cortactinのリン酸化レベルの低い細胞株ではこの一連の変化は見られなかった。蛍光染色による局在解析でCortactinが基質接着部への局在をリン酸化したp130Casと競合することにより,細胞運動に対し負に働くことが示唆された。
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Research Products
(7 results)