2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に基づいたがんの新たな診断・治療法の開発
Project/Area Number |
17015009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 洋一 東京大学, 医科学研究所, 特任教授 (20272560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜本 隆二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80321800)
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Keywords | ゲノム / 癌 / マイクロアレイ / 診断 / 治療 |
Research Abstract |
(研究目的)ゲノム情報を利用した新たながんの診断・治療法開発を目的として、研究の展開を行った.(研究成果)1.肝がん・大腸がん網羅的遺伝子発現プロファイルから、これらのがんで特異的に発現の上昇している遺伝子SMYD3に着目した。その発現抑制により腫瘍の増殖が抑制されることから、SMYD3は分子標的治療薬開発の有望な候補遺伝子である。我々はSMYD3の発現上昇のメカニズムを明らかにするため、そのプロモーター領域を解析したところ、転写因子E2F1の結合配列の2回と3回の繰り返し多型があり、E2F1がこの領域に直接結合して発現亢進を引き起こすことを明らかにした.さらに大腸がん・肝がん・乳がんでは、この繰返し多型が3回のホモ接合が、健常者よりも有意に高い頻度で存在することを証明した。したがって、この多型が大腸がん・肝がん・乳がんのリスクファクターである可能性が示唆された。2.胃がん・肝がんの遺伝子発現プロファイルから、これらの腫瘍で特異的に発現上昇している分子IGSF11を同定した。IGSF11を標的としたがんワクチン療法開発を目的として、細胞障害活性(CTL)を誘導できるペプチド配列を同定した。さらにこのペプチドが、IGSF11を発現する腫瘍細胞に対して、殺細胞能を誘導することを証明した.3.大腸がんで発現の増加している遺伝子、SP5, C10orf3, PPIL1を同定した。SP5は大腸腫瘍の発生にかかわるWntシグナルにかかわる遺伝子であること、C10orf3はTSG101と結合すること、PPIL1はStathminと結合することを示した。C10orf3,とPPIL1の発現を抑制すると、がん細胞の増殖が阻害されることから、これらの分子は大腸がんの治療標的候補である。4.新たに肝内胆管癌の遺伝子発現プロファイル解析を行い、診断・治療法開発の候補分子を検討中である。
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