2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に基づいたがんの新たな診断・治療法の開発
Project/Area Number |
17015009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 洋一 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (20272560)
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Keywords | ゲノム / 癌 / マイクロアレイ / 診断 / 治療 |
Research Abstract |
1.肝癌・大腸癌で発現上昇している遺伝子SMYD3の機能調節メカニズムの解明と、新たなメチル化基質の同定を行なった。その結果、SMYD3タンパクはアミノ末端が切断されて活性化すること、大腸癌・肝癌・乳癌で切断されたタンパクが高発現していることを見いだした。またSMYD3のアミノ末端には種を超えて保存されたグリシンがあり、これらの変異体の酵素活性も上昇していた。このことはSMYD3を標的とする治療法開発において、SMYD3の切断を阻害することによっても、酵素活性を抑制する可能性を示している。さらにSMYD3がメチル化する非ヒストンタンパクの検索を行なったところ、VEGFR1が新たに基質であることを発見した。更にそのメチル化部位が831番目のリジンであることを示した。VEGFR1はリジン831のメチル化によって、自己リン酸化が促進されることから、SMYD3がVEGFR1を介するシグナルの活性化にも関与していることが示された。このことはSMYD3ががんの血管新生にも関与することを示唆している。2.肝内胆管癌の網羅的遺伝子発現情報から、癌で発現増加している遺伝子RAD51AP1を同定した。RAD51AP1に対する抗体を作成し、免疫染色で発現を検討したところ、約61%の肝内胆管癌組織において腫瘍細胞の核で発現が亢進していた。RAD51AP1の発現をsiRNAを用いて抑制すると癌細胞の増殖が阻害されたことから、RAD51AP1が新たな治療標的候補であることが示された。3.また腫瘍抑制遺伝子p53によって発現抑制される遺伝子として、CDC20を同定した。
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