2008 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報に基づいたがんの新たな診断・治療法の開発
Project/Area Number |
17015009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 洋一 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (20272560)
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Keywords | ゲノム / 癌 / マイクロアレイ / 診断 / 治療 |
Research Abstract |
(研究内容)ゲノム情報を利用した新たながんの治療法開発のため、治療薬のターゲットとなる分子の機能解析を推進した。また治療薬となる新たな化合物スクリーニングの為のアッセイ系の樹立を行った。(研究成果)1. 網羅的遺伝子発現プロファイル解析の結果から、大腸癌で発現が亢進している新たな治療標的候補分子MRGBP同定し、機能解析を行った。その結果MRGBPの発現をsiRNAにより抑制すると癌細胞の増殖が阻害されることから、MRGBPは標的治療薬のターゲットとして有望であることが判明した。また免疫染色とウェスタンプロットにより、MRGBPタンパクは主に核内に存在するが細胞質にも発現していることを見出した。さらにMRGBPに結合するタンパクを同定し、MRGBPの調節メカニズムを明らかにした。2. 大腸癌や肝癌の治療標的分子SMYD3の機能を明らかとする為、SMYD3により発現が調節される遺伝子群の同定を継続して行った。SMYD3を強制発現させた細胞とさせていないコントロ-ル細胞との発現プロファイル、またsiRNAでSMYD3の発現を抑制した癌細胞とコントロールsiRNAで処理した癌細胞との発現プロファイルを、マイクロアレイを用いて解析し、新たな下流候補遺伝子群を同定した。これらの分子の発現調節メカニズムをさらに解析するとともに、癌化との関連を今後解析していく予定である。3. PPILについて、そのイソメラーゼ活性の測定をin vitroで試みたが、検出できなかった。4. Wntシグナル伝達の下流であるbeta-catenin, Tcf4の転写活性を細胞内で測定するアッセイ系を樹立できた。5. 癌で発現異常を起こしている糖鎖修飾酵素遺伝子の遺伝子異常解析を行い、大腸癌での異常を同定した。6. 遺伝性の大腸癌HNPGCの遺伝子解析を行った。
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