2005 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外蛍光を利用し、生体分子を選択的に促える新規光診断法の開発
Project/Area Number |
17015011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 宏建 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (70345255)
|
Keywords | 分子認識 / 生体分子 / 分析科学 / 薬学 / 有機化学 / 可視化 / 診断 / 蛍光 |
Research Abstract |
動的な生体状態をリアルタイムに観察することは診断技術の基盤となる。ヘムやメラニン、水などの生体物質の吸収が比較的少ないため、組織透過性のよい近赤外光により励起可能で蛍光を発する、生体分子プローブを分子設計して化学合成し、全く新しい光診断法を開発することを目的に研究を進めてきた。本研究で開発された近赤外蛍光色素により、体表面付近のみならず、より深部へ到達する励起光が利用できるため、非侵襲的に生物体内の測定が可能になると予想できる。 これまでに開発した近赤外一酸化窒素(NO)蛍光プローブdiaminocyanineをラットの摘出腎臓に適用し、アセチルコリン投与時に蛍光強度上昇するデータを得た。また、病態モデルマウスとして、endotoxin shockにより肝NO合成酵素を誘導した敗血症モデルマウスにプローブを静注し、実体蛍光顕微鏡で個体全体を観察したところ、明確な蛍光強度上昇が観察できなかったため、プローブのデザインの見直しが必要であることが分かった。 蛍光色素を化学発がんモデルラットに経口投与し、蛍光内視鏡観察を行った。その結果、シアニン色素などカチオン系色素で病変モデル部位が染色されやすい傾向があることを見出した。 さらにNO以外の生体物質として、近年注目されている亜鉛イオンをターゲットとしたプローブ開発に取り組んだ。トリカルボシアニンのメチン鎖に電子供与性もしくは電子吸引性基を導入することで波長が変化するという現象に注目し、メチン鎖に金属キレーターであるdipicolylethylenediamineを導入し、金属をキレートすることにより波長が変化するdipicolylcyanine(DIPCY)を合成した。DIPCYは亜鉛イオン添加時に約45mmの極大吸収波長の変化を起こすことが明らかとなり、励起波長変化型プローブとして機能することが分かった。
|