2005 Fiscal Year Annual Research Report
胃の前がん病変およびがんの発生に関与する生体因子と生活習慣要因の探索
Project/Area Number |
17015013
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯浅 保仁 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80111558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉原 健一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10171167)
河野 辰幸 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00186115)
滝沢 登一郎 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 教授 (80323674)
今井 一枝 財)放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (80260230)
秋山 好光 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80262187)
深町 博史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70134450)
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Keywords | 胃がん / 生活習慣 / メチル化 / カルシュウムチャンネル遺伝子 / SOX2 / 分化 / トランスジェニックマウス / エストジェン受容体 |
Research Abstract |
1.胃がん検体を新たに100例以上収集するとともに、全患者について生活習慣に関するアンケート調査をおこなった。メチル化頻度を5種類の遺伝子について解析し、エストロジェン受容体遺伝子では、70例中40例(57.1%)で陽性だった。 2.胃がんにおける電位依存性カルシウムチャンネル遺伝子のメチル化の解析 染色体3p21は胃がんなどで染色体欠失が多い領域であり、我々は、3p21領域に存在するカルシウムチャンネル遺伝子CACNA2D3(以下、A2D3)に着目した。RT-PCRの結果、ヒト正常胃粘膜上皮ではA2D3は発現していたが、胃がん細胞株7例中3例で発現陰性であり、5Aza-dC処理後に発現は回復した。MSP解析ではメチル化と遺伝子発現はほぼ一致し、遺伝子発現の消失にはメチル化が関与していることが示唆された。胃がん組織におけるA2D3のメチル化頻度は、27.1%(70例中19例)であった。組織型別では未分化型がんでのメチル化頻度は、分化型がんに比べて有意に高かった。次に、A2D3遺伝子を発現陰性の胃がん細胞株で強制発現させた結果、細胞増殖抑制効果が見られた。以上からA2D3異常は未分化型胃がんに関与していることが示唆され、更にA2D3は機能的に細胞増殖にも関わっている可能性が推測された。 3.胃の分化、及びがん化における転写因子SOX2の機能解析 SRY-related HMG-box familyに属する転写因子SOX2は発生・分化に関与しており、正常胃では発現しているが、小腸と大腸では発現していない。胃がん細胞株9例におけるSOX2発現をRT-PCR法で調べた結果、6例での発現は陰性または弱かった。SOX2発現が陰性である胃がん細胞株とラット正常胃上皮由来細胞株でSOX2の強制発現を行った結果、増殖が抑制されるとともにアポトーシスによる細胞死が認められた。また、SOX2を強制発現した胃がん細胞において胃の分化マーカーであるMUC5AC、Pepsinogen A、及びGastrinの発現上昇も見られた。以上より、SOX2は胃由来細胞においてがん抑制的機能を持つことと、胃の分化マーカーの発現をコントロールしていることが示された。さらに、腸特異的に発現している消化酵素スクラーゼ遺伝子のプロモーターにマウスSOX2遺伝子を繋いで導入したトランスジェニックマウスを作成し、腸でのSOX2の発現を検出した。
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Research Products
(9 results)