2008 Fiscal Year Annual Research Report
胃の前がん病変およびがんの発生に関与する生体因子と生活習慣要因の探索
Project/Area Number |
17015013
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯浅 保仁 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80111558)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 一枝 (財)放射線影響研究所, 放射線生物学/分子疫学部, 研究員 (80260230)
|
Keywords | 胃がん / メチル化 / エピジェネティクス / マイクロRNA / NOTCH |
Research Abstract |
マイクロRNA miR-181cのエピジェネティックな発現抑制と胃がんとの関連の解析 胃がんにおけるマイクロRNA(以下miRNA)の発現低下とメチル化との関連性を明らかにするため、脱メチル化剤処理した胃がん細胞株を用いて、miRNAの発現プロファイルを調べた。その結果、14個のmiRNAの発現が脱メチル化剤処理後に3倍以上上昇した。これらのmiRNAの遺伝子座とその配列の上流でのCpGアイランドの有無から、miR-181cとmiR-432の2つに着目した。RT-PCR法によりmiR-181cは、複数の胃がん細胞株で脱メチル化剤処理による発現増加が認められた。一方、miR-432は一例の胃がん細胞株でしか発現の回復が見られなかったので、miR-181cをさらに解析した。miR-181cは、DNAメチル化酵素であるDNMT1/3bをともに欠損した大腸がん細胞で強く発現していた。miR-181cは、原発性胃がん組織16例のうち9例で発現が低下していた。miR-181cの機能を検討したところ、Precursor-miR-181cを導入した2つの細胞株で細胞増殖が低下した。cDNAアレイによりmiR-181cの標的遺伝子の探索を行ったところ、NOTCHやK-RASなどいくつかのがん遺伝子のmRNA量が低下していた。胃がん細胞株にDNA脱メチル化剤とヒストン脱アセチル化阻害剤の併用処理を行ったところ、これらmiR-181cの標的と考えられる遺伝子の発現は抑制された。以上より、胃がんにおけるmiR-181cの発現低下にはメチル化が関与している可能性が考えられた。また、胃がんにおいてmiR-181cは細胞増殖やがん遺伝子の発現調節に関わるがん抑制的なmiRNAであると推測される。
|
Research Products
(21 results)