2009 Fiscal Year Annual Research Report
胃の前がん病変およびがんの発生に関与する生体因子と生活習慣要因の探索
Project/Area Number |
17015013
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
湯浅 保仁 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80111558)
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Keywords | 胃がん / メチル化 / マイクロRNA / マウスモデル / E-カドヘリン / 血球DNA |
Research Abstract |
1.血球DNAのメチル化とがんとの関連の解析 血球DNAのメチル化をがんリスクの生体指標として新規がん感受性診断に利用できるか否かを調べるため、胃がん患者と健常者の血球DNA各300例を解析した。予備的に検討した複数の遺伝子の中から選んだ遺伝子Aについて、メチル化を定量的PCR法で解析した。胃がん患者のメチル化の平均は5.25%、健常者の平均は4.56%で胃がん患者の方が高かった。胃がん患者についてメチル化に影響する因子を、5%区切りで調べると、高齢、喫煙歴有りで5%以上の例が有意に多かった。 血清中のHelicobacter pylori(Hp)に対する抗体値を測定した結果、胃がん患者では健常者よりHp抗体陽性者が多かった。しかし、胃がん患者と健常者の各々で、Hp抗体陽性者と陰性者の間でメチル化の程度に差は見られなかった。以上より、血球DNAにおける遺伝子Aのメチル化は胃がんの生体指標となる可能性が示された。 2.未分化型胃がんのマウスモデルの作成 我々は、すでにヒト未分化型胃がんの原因遺伝子であるCDH1(E-カドヘリン)をCre-lox系により胃特異的に欠損するマウスを作成した。しかし2年以上経過しても、良性な異常細胞は見られたが、胃がんは形成されなかった。そこで、CDH1単独では胃がん発症には不十分と考え、さらに胃がんの重要ながん抑制遺伝子と考えられるp53も同時に胃の細胞で欠損するマウスを作成した。6ヶ月経過したダブル欠損マウスでは、構造・核異型が見られる異常な細胞の集団が多数検出され、消化管病理専門医によって早期がんと診断された。9ヶ月から12ヶ月では、印鑑細胞を含む未分化型胃がんが100%に発生しており、半数のマウスでは固有筋層、または漿膜にまで達する進行がんであった。以上から、ヒト未分化型胃がんのよいマウスモデルが作成できたと考えられる
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Research Products
(22 results)