2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺がんの個性解明と個別的分子診断・治療への展開
Project/Area Number |
17015019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 隆 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50231395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 聖 名古屋大学, 高等研究院・特任講師 (20372112)
冨田 秀太 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (10372111)
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Keywords | 分子腫瘍医学 / 肺がん / 網羅的遺伝子発現解析 / プロテオミクス / マイクロアレー / バイオインフォマティクス / マイクロRNA |
Research Abstract |
ヒト肺癌のオーダーメイド医療実現に寄与することを目指して研究を進め、本年度は以下の成果を得た。 (1)網羅的遺伝子発現解析によって存在を明らかとした、遺伝子異常や臨床病態に有意な差異を示す2群の肺腺癌の一方に、末梢肺の発生・分化にlineage specificに関わるTTF-1遺伝子の特徴的高発現と、遺伝子コピー数の増加をみいだした。さらに、末梢気道上皮細胞の癌化によって生じる肺腺癌がTTF-1に依存性を示すことを明らかとした。これらの成果は肺癌細胞におけるlineage addictionの存在を支持する貴重なエビデンスであるとともに、TTF-1の分子標的としての有用性を示唆する。現在さらに、TTF-1によって活性化される遺伝子ネットワークの解析を進めつつある。 (2)我々が樹立した高転移性ヒト肺癌細胞亜株NCI-H460-LNM35とヒト肺癌腫瘍組織の統合的な網羅的発現解析を通じ、転移に関連するGene Ontology termの一つとしてmorphogenesisを抽出した。更に、LNM35株の親株であるN15株の低転移性や肺癌外科切除例における良好な予後と関連する分子として、homeobox蛋白を規定するDLX4遺伝子をみいだし、その転移抑制能を明らかとした。 (3)ヒト肺癌における遺伝子増幅を伴う過剰発現の存在を明らかとしたmiR17-92マイクロRNAクラスターに属する7種類のマイクロRNAのうち、とくにmiR-17-5p及びmiR-20aの抑制が肺癌細胞株に細胞死を惹起することを明らかとした。また、mRNA及び蛋白の網羅的発現解析済みのコホートを用いてマイクロRNAの網羅的発現解析を開始した。すでに80例からマイクロRNA解析に適したRNAの再抽出を終了し、順次マイクロアレイ解析を進めつつあり、来年度にはその統合的バイオインフォマティクス解析を予定する。
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Research Products
(12 results)