2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺がんの個性解明と個別的分子診断・治療への展開
Project/Area Number |
17015019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 隆 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50231395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 聖 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (20372112)
冨田 秀太 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10372111)
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Keywords | 分子種瘍医学 / 肺がん / 網羅的遺伝子発現解析 / プロテオミクス / マイクロアレー / バイオインフォマティクス / マイクロRNA |
Research Abstract |
ヒト肺癌のオーダーメイド医療実現に寄与することを目指した研究を遂行し、以下の成果を得た。 (1)これまで肺腺癌の多様性の描出とその統合的理解を試みてきた。本年度はさらに、外科切除後の予後予測モデルの構築を進めた。まず、60例の学習用データセットにおいて、100回の無作為再区分を伴う10-foldクロスバリデーションを組み入れた予測モデルの構築と評価を行うとともに、さらに全く独立した27例の検証用データセットを用いた汎用性の確認を行った。学習用及び検証用データセットのいずれにおいても、高危険度判定群の術後5年以内の無再発生存は僅か10%にも満たず、早期の1期症例にも極めて予後不良な一群が含まれることが明らかとなった。 (2)ヒト肺癌における高頻度の発現異常と、癌抑制遺伝子或いは癌遺伝子としての役割を示してきたlet-7とmiR-17-92マイクロRNAの標的遺伝子として、let-7自身を含むマイクロRNAの生成に必須のDicerと、癌化と深く関わるHIF1αをそれぞれ同定した。いずれにおいても、マイクロRNAとその上流及び下流(標的)の蛋白を規定する遺伝子との間に、精緻な発現制御フィードバックループが存在することが明らかとなり、その乱れが癌化に深く関わっている可能性が示唆された。 (3)ヒト肺癌における種々のチェックポイント異常の存在をこれまで報告してきたが、本年度はS期チェックポイント異常について検討を進めた。その過程でDNAダメージチェックポイントに深く関わるNBS1遺伝子の異常を日本人において初めて同定し、その新規変異について機能的解析を行った。さらに、1743例の肺癌を含む各種癌患者と2348例の対照非癌健常人群の解析を通じて、同定した新規NBS1遺伝子変異のヘテロ接合性が、胃癌や大腸癌発症の有意な危険因子であることを示した。
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Research Products
(13 results)