2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肺がんの個性解明と個別的分子診断・治療への展開
Project/Area Number |
17015019
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 隆 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50231395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 聖 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (20372112)
山口 知也 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70452191)
|
Keywords | 分子腫瘍医学 / 肺がん / 網羅的遺伝子発現解析 / プロテオミクス / マイクロアレー / バイオインフォマティクス / マイクロRNA |
Research Abstract |
ヒト肺癌のオーダーメイド医療実現に寄与することを目指した研究を遂行し、以下の成果を得た。 1) gene set enrichment analysis(GSEA)とconnectivity map(C-MAP)解析という二つの独立したバイオインフォマティクス解析を用いて、肺腺癌外科切除症例の予後を規定する遺伝子群について検討を加えた。その結果、アミノ酸やグルコースの飢餓状態への適応を含むmTORに集約する複数のパスウェイに関連した遺伝子セットに、特徴的な発現プロファイルの差異を検出するとともに、mTORに集約する複数パスウェイの阻害活性を持つ既知及び未知の薬剤が、肺癌細胞株の発現プロファイルを再発群類似から治癒群類似へと変化させ得ることを明らかとした。さらに、そのような薬剤のいずれもが、抗腫瘍活性を有することを明らかとした。 2) 我々が肺小細胞癌における過剰発現を世界に先駆けて報告したmiR-17-92マイクロRNAクラスターに関する研究において、同クラスター中のmiR17-5pとmiR-20aが標的遺伝子であるE2F1等を抑制することによって、肺小細胞癌のほぼ全例に検出されるRB遺伝子の不活化によって生じる過度のDNA損傷を低減しており、結果的に構成的なゲノム不安定性の誘導を通じて癌の発生・進展に寄与している可能性を示唆する結果を得た。 3)我々が樹立した高転移性ヒト肺癌細胞亜株NCI-H460-LNM35を用い、その網羅的発現解析を通じて同定した新規転移関連遺伝子(CIM)産物が小胞体に存在しており、転移形成時の微小環境において癌細胞が晒される小胞体ストレスに対するレスポンスに、重要な役割を担っていることを明らかとした。
|
Research Products
(15 results)