2005 Fiscal Year Annual Research Report
がん発症前高リスクに関わるがん体質遺伝素因の実体解明と試行的コホート解析
Project/Area Number |
17015030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清水 憲二 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (10037286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内田 守 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (80213635)
松原 長秀 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70314672)
小出 典男 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (20142333)
堺 明子 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (60205698)
伊藤 佐智夫 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (30335624)
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Keywords | がん体質遺伝 / 1塩基多型 / ms-SNP / 肺がん / 頭頸部がん / 大腸がん / 食道がん / 疾患コホート |
Research Abstract |
本研究では「がん体質遺伝」の実体に迫るために、がん関連候補遺伝子のミスセンス1塩基多型(ms-SNP)を広汎に検索してきた。これまでに計135遺伝子で205箇所のms-SNP候補を見出し、担がん患者(計344名)及び対照健常人集団におけるアレル分布を解析した。本年度は対照健常人検体数を約2倍に増やして(計202名)再検討した結果、昨年度までの19種と新規に8種のms-SNPが統計学的に有意なリスクを示した。この27種の内訳は、肺、頭頸部、大腸、食道、乳腺などのがんで高リスクSNPが21種(オッズ比;1.62〜14.2)と保護的SNPが6種(オッズ比;0.12〜0.61)を占め、DNAの修復/複製(7)、がん抑制(5)、染色体分配(5)、細胞周期制御(3)及びその他の機能(3)に関与する23遺伝子群であった。また27種のうち20種は複数種のがんに影響し、うち22種は本研究による新発見である。検体毎にms-SNPの重複(累積オッズ比:COR)を検討した結果、肺腺がんのリスクに関わる13種のms-SNP遺伝子型が重複し、CORが30以上を示す人は、健常人では5%で、肺腺がん患者では30%に達した(P=6.7x10^<-8>,OR=8.33)。同じく肺扁平上皮がんのリスク因子11種でCORが20以上の人は、健常人7.9%、肺扁平上皮がん患者59%であった(P=6.9x10^<-1>1,OR=16.6)。同様の傾向は頭頸部、大腸、食道などのがんでも認められ、健常人と患者群の平均CORは3〜15倍の差があった。このように、本研究で明らかになったms-SNP27種は、実際に発がんリスクの遺伝的背景となっていることが強く示唆された。以上の結果を協力病院の通院非がん患者246名について適用したところ、計34名で各種のがん発症リスクが特に高いことが判明したため、主治医による継続的フォローを開始した。
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Research Products
(8 results)