2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17015046
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
中川原 章 Chiba Cancer Center (Research Institute), 千葉県がんセンター(研究所)・研究局, センター長 (50117181)
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Keywords | 小児がん / 個別化診断 / 個別化治療 / 神経芽腫 / DNAチップ |
Research Abstract |
小児固形腫瘍、なかでも難治性である神経芽腫の層別化と個別化を目指した診断法を確立し、臨床での前向き評価の実現および新規予後マーカーの検索と創薬への展開を目的として、平成21年度は以下の成果を得た。日本人神経芽腫343例のアレイCGH解析およびMYCN,ALK遺伝子異常の解析結果を組み合わせた新しい神経芽腫ゲノムリスク分類を完成させた。この分類を前向きに評価する臨床研究を日本神経芽腫スタディグループ(JNBSG)に提案中である。一方、これまでに同定した神経芽腫候補遺伝子の中で、1番染色体短腕1p36にマップされるがん抑制遺伝子RUNX3の機能解析に関しては、RUNX3が悪性度の高い神経芽腫で高発現している野生型p53と直接結合し、そのSer15のリン酸化を促進することを明らかにした。悪性の神経芽腫ではRUNX3の発現が抑えられているため、p53の活性化が抑制されているものと思われ、これが予後に影響していることが示唆された。また、同じく1P36のがん抽制遺伝子として同定したKIFIBβについては、酵母two-hybrid screenにより3個の結合する蛋白質を同定した。うち、1個はミトコンドリア細胞死シグナルを制御する分子であった。さらにその分子に結合することが分かっている2つの因子に関して、それらの発現を神経芽腫において調べたところ、1つは予後と相関し新規予後因子となることが明らかになった。現在、KIFIBβを介した細胞死の詳細な分子機構を解析中である。また、ALKと複合体を形成するRPTPとリガンドであるPTNに関して、神経芽腫におけるそれらの発現と機能的意義について解析した。その結果、RPTPとPTNの発現は神経芽腫の予後と強く相関していることが明らかになった。したがって、ALKは遺伝子変異のみではなく、複合体を形成する蛋白質によっても機能制御され、神経芽腫の予後に影響を与えていることが示された。
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