2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん関連遺伝子の構造、発現、機能解析によるがんの分子診断と病態の解明
Project/Area Number |
17015048
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
村上 善則 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), がん抑制ゲノム研究プロジェクト, プロジェクトリーダー (30182108)
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Keywords | アレル特異的発現 / RDP / がん抑制遺伝子 / TSLL2 / CADM4 / DAL-184.1B / メチル化 / 賢明細胞がん / 前立腺がん |
Research Abstract |
がんの易罹患性に関わる遺伝子多型の生物学的、病的意義を明らかにする目的で、放射線照射前後のヒトリンパ球におけるDNA2本鎖切断修復酵素郡のアレル特異的遺伝子発現をcSNPを指標として解析した。その結果、18遺伝子の19 SNP中、6 SNPにおいて、放射線照射後の3SDを超えるアレル間の発現不均衡が認められた。その生物学的意義に関しては検討中である。 一方、腎、尿路系腫瘍における細胞接着分子群の異常の有無を明らかにする目的で、がん抑制遺伝子TSLC1/CADM1とその構造類似分子TSLL2/CADM4並びにその経路上の分子群の異常の有無を解析した。まず、腎明細胞がん55例の解析においてTSLC1/CADM1蛋白質と結合し、アクチンとも結合する細胞内裏打ち蛋白質DAL-1/4.1Bの遺伝子プロモーター領域のメチル化が45%に認められ、無再発生存期間と逆相関を示し、独立した予後因子となることを示した。このことからDAL-1/4.1Bは腎明細胞がんの抑制遺伝子であることが示唆された。 次に、TSLL2/CADM4が免疫グロブリン・スーパーファミリーに属する細胞接着分子であり、腎近位尿細管、尿管、膀胱などの移行上皮と、前立腺の腺上皮に発現すること、ホモ2量体を形成してトランスに作用し、細胞接着活性を示すことを明らかにした。そして、前立腺がんの進展に伴ってTSLL2/CADM4の発現が欠如すること、またヒト前立腺がん培養細胞PPC-1にTSLL2/CADM4を発現させると、ヌードマウスにおける腫瘍原性が抑制されることを示した。TSLL2/CADM4遺伝子の位置する第19染色体q13.2領域は、前立腺がんで高頻度にヘテロ接合性の消失を示すことから、TSLL2/CADM4が前立腺がんの抑制遺伝子である可能性が示された。
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Research Products
(6 results)