Research Abstract |
1.MALTリンパ腫の病因と病態に関する研究: 昨年度はMALT1およびAPI2-MALT1蛋白はレプトマイシンB(LMB)処理により核に集積することを見出し,両蛋白が細胞質と核の間を移動することを明らかにしたが,細胞質と核内輸送機構については不明のままである.腫瘍化における役割を検討するために,種々の細胞株に導入し,検討したが,造腫瘍性はなく,API2-MALT1キメラ遺伝子の機能は抗アポトーシス作用が主体であることが示唆された. 2.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DBCDの病因と病態に関する研究: これまで解析してきた100症例近くのゲノムプロファイルを比較し,ゲノム異常変化の頻度の高い領域から,責任遺伝子の単離を試みた.6q23領域は標的となっている3Mbについてcontigアレイを作成し,現在,その候補標的遺伝子は2つに絞られている.また,マントル細胞リンパ腫とDLBCLのABC型とGCB型はゲノム異常様式が異なることを報告していたが,Bio-Informaticsの手法を用いて,鑑別診断に有用なアルゴリズムを作成し,判別診断を試みたところ,マントル細胞リンパ腫とDLBCLの判別は94%の精度,ABC型とGCB型の判別は84%ときわめて精度の高い結果が得られた. さらに,これまで明らかにしてきたCD5+DLBCLについて遺伝子発現解析をし,CD5+DLBCLに特徴的な発現様式(CD5 signature)を見出した.CD5 signatureは予後の悪いDLBCL群を抽出することが出来るが,他のデータベースを用いても確認できた.
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