2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17015051
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
神奈木 玲児 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 部長 (80161389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 修 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, 室長 (00142167)
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Keywords | リンパ節浸潤 / 細胞接着分子 / セレクチン / ホーミング / 血行性転移 / 悪性リンパ腫 / シアリル6-スルホルイスX / 白血病 |
Research Abstract |
我々はこれまで、セレクチンとその糖鎖リガンドによって媒介される悪性細胞と血管内皮細胞の接着が悪性細胞の組織浸潤および血行性転移において重要な役割を演じると提唱してきた。特に悪性細胞に発現誘導されるセレクチンの糖鎖リガンドの発現に関わる遺伝子を解析し、これらセレクチンの糖鎖リガンドをはじめとする細胞接着性糖鎖のがん組織における発現増加の遺伝子機序を解明し、あわせてがん進展におけるこれら糖鎖の生物学的機能を明らかにすることにより、次世代的ながんの診断と治療を可能にすることを目的として研究を進めている。本年度は特に、白血病細胞やリンパ腫細胞の組織浸潤に関与する細胞接着糖鎖に焦点を合わせた。白血病細胞やリンパ腫細胞はしばしばリンパ節に浸潤し、また、特定のタイプでは皮膚浸潤のような特殊な浸潤様式をとることもある。正常の白血球、とくにリンパ球もまた、リンパ節や皮膚へと日常的にホーミングを起こしており、これら正常細胞のホーミングを媒介する糖鎖と、悪性細胞の組織浸潤にかかわる糖鎖の異同について検討した。その結果、正常リンパ球のホーミングはGlcNAc6ST-1およびHEC-GlcNAc 6STという二種類の硫酸基転移酵素の関与によって合成される硫酸化タイプのセレクチンリガンド(シアリル6-スルホルイスX)によって媒介されていることが、両酵素遺伝子のダブルノックアウトマウスの解析から判明した(Nat.Immun.,6:1105-1113,2005)。一方、皮膚へのホーミングについても、正常細胞のホーミングは主としてシアリル6-スルホルイスXによって媒介されていることが判明した(Blood, in press,2006)。予備実験の成績から、悪性細胞においては非硫酸化型のリガンドが働くと見られ、正常細胞のホーミングとは関与する糖鎖が異なると考えられるので、今後この点を解析する。
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