2009 Fiscal Year Annual Research Report
日・中・韓三国で増加するがんの環境・宿主要因に関する民族疫学的研究
Project/Area Number |
17015052
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
田島 和雄 Aichi Cancer Center Research Institute, 所長 (30150212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 英夫 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 部長 (60470168)
松尾 恵太郎 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 室長 (80393122)
川瀬 孝和 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 主任研究員 (30463194)
嶽崎 俊郎 鹿児島大学, 大学院・医歯総合研究科, 教授 (50227013)
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Keywords | 大腸がん / 乳がん / 危険・防御要因 / 民族疫学 / 環境・宿主交互作用 / がん予防 / 国際研究者交流 / 中国:韓国 |
Research Abstract |
本邦で増加傾向がピークに達し、大腸がん、未だに増加傾向を示す乳がんの両者は代表的な欧米型のがんで、最近は他の東アジア諸国でも増加しつつある。本研究は大腸・乳がんの環境・宿主要因を民族疫学的に解明し、中国と韓国を含む東アジア三国における両がんの予防対策の策定に寄与する有用な情報を構築していくことが主要目的である。平成12~16年度には大腸がんに焦点を当てた日・中・韓三国共同研究を実施してきたが、平成17年度から今年度までは乳がんを加えた第二次三国共同研究を推進してきた。日本側の研究を推進するために大規模な病院疫学研究を愛知県がんセンター病院で展開しており、新来患者約12,000名(3~4割は一年以内にがんと診断)に対し、一般的な生活習慣調査を終了し、そのうち約7,000名分については血液も採取し、すでに第一次三国共同研究で収集した約30,000人分の資・試料と合わせ、本研究のための解析用データベースを構築した。今年度は本研究班の最終年度として、三国間で共同研究してきた大腸・乳がんの主な要因についてまとめ、さらに、遺伝子情報を用いた大腸・乳がんの発がん感受性、および環境要因との交互作用に関する解析結果をまとめた。日・韓・中三国における大腸がんの主な研究結果はすでに報告してきたが、三国に共通した乳がんの身体的要因として、早い初潮、遅い閉経、未婚・未授乳などが、また、肥満(BMI>25)は閉経後乳がんで危険度を高めることが明らかになり、その傾向は遺伝子型による層別化分析によりさらに強調された。一方、食生活要因としては大豆製品の摂取量が少ないとホルモン受容体陽性乳がんで、また、葉酸摂取量が少ないと受容体に無関係に危険度が高くなった。今後も本研究の資・試料を用い、三国の生命倫理・安全対策に十分対応しながら三国の文化的背景を考慮した大腸・乳がんの予防指針を作成するための民族疫学研究を継続していきたい。
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