2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松田 彰 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 教授 (90157313)
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Keywords | 固形がん / 代謝拮抗剤 / CNDAC / ECyd / DNA損傷 / 修復 / 放射線 / HIF-1α |
Research Abstract |
DNA合成阻害剤CNDACによるDNA切断の修復機構を詳細に調べた. CNDACがDNA中に取込まれると一本鎖切断を起こす. この障害の修復にDNA除去修復もミスマッチ修復も関与しなかった. 転写とカップルしたヌクレオチド除去修復経路(TC-NER)を初期化するCBS蛋白を欠損した細胞はCNDACに対するコロニー形成能を上昇させるが、ゲノム全体のNERを初期化するXPCの欠損細胞は抵抗性を示した. ヘリカーゼまたはXPB(障害部位の5'側をまきもどすヘリカーゼ、または障害部位の5'側に切り込みを入れるエンドヌクレアーゼXPF)が欠損している細胞はXPFのパートナー蛋白ERCC1を欠損している細胞と同様に、CNDACに対するコロニー形成能を上昇させた. この感受性はp53の機能とは独立しており、XPFを複製すると野生型とほぼ同等に感受性を回復した. 逆に、両方のXPD欠損細胞は野生型細胞と同等の感受性であったが、XPF欠損細胞はtroxacitabineやcytarabineに対しては感受性を示さなかった. このように、CNDACによる一本鎖切断はTC-NER経路で認識され、一部は修復される. 紫外線による障害の5'方向で機能するNER蛋白は障害の3'側をプロセスする蛋白とは違ってCNDACによる切断修復にも関与した. 一方、RNA合成阻害剤ECydは、アポトーシスを阻害するサバイビンの発現抑制により放射線増感作用を示した. 今回、SCIDマウスにMKN45(ヒト胃がん細胞)を移植し、ECyd(0.5mgkg-1)はHIF-1α遺伝子発現を低下させ、結果として腫瘍の低酸素領域を減少し、2 GyのX線照射の併用で低酸素領域でのアポトーシスが増強された. この結果は、ECydがHIF-1α阻害により放射線増感剤として働いており、固形がんでX線療法抵抗性の低酸素細胞の治療に有用であることを示した.
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