2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (50237468)
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Keywords | 免疫 / 発生・分化 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 糖鎖 |
Research Abstract |
我々の施設で、マウスのみならずヒトにおいてもNKT細胞の抗原受容体に特異的なリガンドが発見された。それは、糖脂質αガラクトシルセラミド(αGalCer)であり、マウスおよびヒトNKT細胞は特異的に活性化され、マウスの実験系でがんの転移は完全に抑制された。本研究では、NKT細胞のもつがん転移の抑制能を利用した免疫細胞治療法の開発に関する研究を行う。これまでに、進行期および再発肺癌患者を対象にしたαGalCerをパルスした患者自身の樹状細胞を戻す細胞治療のPhase I研究を終え、Phase II相当の研究に進んでいる。特に、治療を行った患者の末梢血サンプルなどを用いて治療効果の判定を行い、より有効な細胞治療法の開発を目指す。自然免疫系をターゲットにした免疫療法の開発という点で、がん治療の研究領域に貢献できると考えている。 原発性肺癌患者に於いて、in vivoでのNKT細胞活性化を目指すαGalCerパルス樹状細胞療法のphase II相当の臨床試験を施行した。標準治療終了後の手術不能進行期肺癌および肺癌術後再発を対象としてαGalCerパルス樹状細胞の静脈内投与を17例に対して施行した。その結果、本免疫細胞療法は安全に行うことが可能であり、NKT細胞特異的免疫反応の解析として、末梢血NKT細胞数の明らかな増加を5例に認めた。更に末梢血単核球をαGalCerによりin vitroにて再刺激した後のIFN-γ産生細胞数をELISPOT法にて測定した。その結果、IFN-γ産生増強を認めた10例は産生増強を認めなかった7例と比較し、統計学的有意に全生存期間の延長を認めた(31.9ヶ月vs. 9.7ヶ月, p=0.0015)。ELISPOT法による末梢血単核球のαGalCer再刺激によるIFN-γ産生が治療後の効果判定に有力なバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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