2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 俊憲 Chiba University, 大学院・医学研究院, 教授 (50237468)
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Keywords | 免疫学 / 発生・分化 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 糖鎖 |
Research Abstract |
我々の施設で、マウスのみならずヒトにおいてもNKT細胞の抗原受容体に特異的なリガンドが発見された。それは、糖脂質αガラクトシルセラミド(αGalCer)であり、マウスおよびヒトNKT細胞は特異的に活性化され、マウスの実験系でがんの転移は完全に抑制された。本研究では、NKT細胞のもつがん転移の抑制能を利用した免疫細胞治療法の開発に関する研究を行う。これまでに、進行期および再発肺癌患者を対象にしたαGalCerをパルスした患者自身の樹状細胞を戻す細胞治療のPhase I研究を終え、Phase II相当の研究に進んでいる。特に、治療を行った患者の末梢血サンプルなどを用いて治療効果の判定を行い、より有効な細胞治療法の開発を目指す。自然免疫系をターゲットにした免疫療法の開発という点で、がん治療の研究領域に貢献できると考えている。 平成21年度は、平成20年度から進めている「原発性肺癌c-stage IIB, IIIA期手術予定症例の術後再発抑制を目的としたαGalCerパルス樹状細胞療法(Phase IIa相当臨床研究)」の臨床研究を進めた。その結果、手術サンプルで細胞治療後にTILに選択的にNKT細胞の集積が見られた。この集積は、腫瘍の無い肺の組織のNKT細胞数に比べて4例の結果では、60倍、24倍、50倍、39倍と顕著であった。T細胞の集積はせいぜい5-8倍で有り、NKT細胞特異的であることが分かった。治療をしなければ、NKT細胞の腫瘍組織への集積はやはり数倍であった。TIL中のNKT細胞の機能については選択的にIFNγの産生が起こっていることが分かった。予後に関しては現在この4例は観察中である。まだ再発は見られていない。
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