2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016011
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮園 浩平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90209908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 健志 (財)癌研究会, 癌研究所生化学部, 部長(研究職) (70264421)
渡部 徹郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00334235)
齋藤 正夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90345041)
|
Keywords | TGF-β / 分子標的治療 / シグナル伝達 / Smad7 / 膵臓がん / 乳がん / DDS / 転移 |
Research Abstract |
1)我々はマウス乳癌細胞株JygMC(A)を用いて、ヌードマウスを用いたがん転移モデルにおいて、アデノウイルスに組み込んだSmad7やc-Skiががんの肺や肝臓への転移を抑制することを明らかにした。一方、Smad6では同様の作用は見られなかった。Smad7をJygMC(A)細胞に安定性に発現させても転移の抑制が見られたことからSmad7はがん細胞に直接作用して転移を抑制することが示唆された。JygMC(A)細胞は間葉系細胞の形質を有しているが、Smad7はこれを上皮系細胞の形質に戻す働きがあることが示唆された。さらにDNA microarrayによる解析を行い、JygMC(A)細胞では転写因子DEC1がTGF-βによって誘導され、がん細胞の生存に重要な役割を担っていることを明らかにした。 2)TGF-β拮抗剤の作用をin vivoで検討していく過程で、TGF-β拮抗剤が内皮細胞と周皮細胞の接着を妨げる結果、血管壁の漏出性に密接に関わっていることを明らかにした。そこで種々の抗がん剤との併用を行ったところ、ヌードマウスの皮下に移植した膵臓がんの増殖をTGF-β拮抗剤とGemcitabinなどの抗がん剤の併用で抑制できることが明らかとなった。さらに通常の抗がん剤よりもミセル型アドリアマイシンの方がTGF-β拮抗剤によってより顕著に効果を示すことが明らかとなった。こうした効果は膵臓がんの皮下移植モデルだけでなく、スキルス胃がんをヌードマウスの胃壁に移植した同所移植モデルでも同様の効果があることが確認され、TGF-β拮抗剤が抗がん剤との併用でとくに血管の乏しいがんの治療に有効であることを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)