2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療のためのアデノウイルスベクターおよび発現制御システムの開発
Project/Area Number |
17016014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 泉 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助教 (80251453)
近藤 小貴 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80451871)
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Keywords | アデノウイルスベクター / guttedベクター / 部位特異的組換え酵素 / Cre / loxP / FLP / FRT |
Research Abstract |
本研究ではがん、特に播種性がん等「見えないがん」に対する遺伝子治療用ベクターとして、正常細胞への影響を最小限に留め、がん細胞のみを標的化して治療する細胞特異性を付加したアデノウイルスベクターである「単一型特異的高度発現ベクター」作製法の改良を行ってきた。既にヘルパーウイルス依存型ベクターの作製効率の格段の上昇に成功し、がん細胞でのみ部位特異的組換え酵素Creによりスタッファー領域が切り出され目的遺伝子を高度に発現する「単一型スタッファー型高度発現ベクター」の作製に成功し、目的とした肝細胞癌特異的に目的遺伝子高度な発現を確認した。平成20年度は主に全く新しい制御システムであるCre依存的に切り出された環状分子上でのみ目的遺伝子が発現する「単一型切り出し発現型ベクター」の開発に取り組み、ベクターの生成を確認した。切り出し発現型ベクターは従来の第1世代型ベクターとして作製が可能であるため、臨床応用へのハードルはヘルパー依存型ベクターよりも低いと考えられるが、一方で高力価のためベクター増幅中にわずかにリーク発現するCreにより目的の発現単位が切りされてしまったベクターの出現率がスタッファー型よりも高いことも判明した。そこでこのリーク発現を抑制するために、Creに対するdominant negativeやsiRNAのスクリーニングを行い、有用性の高いものの同定に成功した。一方で臨床応用において最大の問題点であるベクター大量培養系の確立の検討も開始するとともに、大量培養を行ったベクターをロスなく精製するための条件検討も行った結果、従来の超音波によるベクター回収法に比べ、界面活性剤を用いた方が大量のベクターを回収する場合には回収率が上昇することを見いだした。これらの結果を受け、現在動物モデル作製のため肝細胞癌の播種モデルマウス作製を行っている。
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