2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 愼 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任講師 (40415956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
佐々木 茂 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10305229)
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / ゲノム / 炎症 |
Research Abstract |
1) 新規の肝癌生体マーカーを同定すべく、肝炎、肝癌患者血清中の炎症、細胞増殖、血管新生に関わる因子(IL-8, Ang-1, VEGFなど)についての検討を行った。その中でIL-6は炎症惹起とともに肝再生にも関与し、発癌に重要な役割を果たすと考えられている因子である。当科通院中のC型慢性肝炎患者について血清IL-6濃度を測定し、その後の累積発癌について検討した。その結果、平均観察期間9年間においてIL-6が増加するにつれて有意に発癌率が上昇した。さらに男女別に解析すると、男性ではIL-6濃度により発癌率の差はみられず、女性においてほその差がより大きく認められた。肝発癌における男女差にIL-6が関連していることが示され、この現象にはエストロゲン濃度が関与していることが明らかとなった。 2) 新たな肝癌分子マーカーの検索のため肝癌患者の癌部、非癌部の組織、ヒト肝癌細胞株より抽出したタンパクを用いて、レセプター型チロシンキナーゼ、血管新生関連因子の活性化、発現解析を網羅的に施行した。多くの肝癌細胞株ではEGFR, c-Metをはじめとするいくつかのチロシンキナーゼの活性化やVEGFなどの増加が観察され、治療の分子標的になりうると考えられた。しかしながら、一方、臨床検体では癌部において極めて弱い活性化、発現が認めるのみで、治療標的と考えられるような分子は現在までのところ見出されなかった。
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Research Products
(32 results)