2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ミセル型ナノキャリアによる薬物・遺伝子デリバリー
Project/Area Number |
17016017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 裕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00322678)
西山 伸宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10372385)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / がん化学療法 / 遺伝子治療 / siRNA / がん標的治療 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
本研究では、固形がんを標的とした薬物や遺伝子のデリバリーシステムを開発し、がんの分子療法の実用化を目指している。本年度は、(1)Dachplatin内包高分子ミセルの体内動態の改善を目的としたミセルを形成するブロック共重合体の組成の最適化、(2)Dachplatin内包ミセルへの標的リガンドとしての葉酸分子の導入、(3)DNA内包高分子ミセルの血中滞留性向上のための新しいブロック共重合体の設計、の3つの項目について研究を行った。 研究(1)においては、ブロック共重合体の内核構成セグメントを短くすることで、ミセルの肝臓および脾臓への集積が抑制され、その結果、固形がんへの集積の選択性が向上することが明らかとなった。さらに、担がんマウスを用いた制がん活性評価において、最適化されたDachplatin内包ミセルは、Oxaliplatinに対して耐性であるマウス大腸がんC-26に対し、毒性を示すことなく高い制がん活性を示すことが明らかとなった。 研究(2)においては、葉酸分子結合型Dachplatin内包ミセルを開発し、葉酸受容体に対する認識能を表面プラズモン共鳴解析装置により評価した。さらに、葉酸受容体を過剰発現していることで知られるKB細胞に対して葉酸結合ミセルは優れた細胞毒性を示すことが明らかとなった。 研究(3)においては、高分子ミセル型遺伝子キャリアの血液中における安定性を向上させるために、DNAを保持した内核とポリエチレングリコール外殻の間に、アニオン性高分子からなる中間層を有する3層型高分子ミセルを開発した。3層型ミセルは、アニオン性のアルブミンがミセル中間層と静電反発によって相互作用しないために、高濃度アルブミン存在下においても長時間安定であることが確認された。本システムは、全身投与による遺伝子デリバリーが可能なシステムとして今後の展開が期待される。
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Research Products
(8 results)