2009 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ミセル型ナノキャリアによる薬物・遺伝子デリバリー
Project/Area Number |
17016017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 伸宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10372385)
宮田 完二郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50436523)
石井 武彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (80415075)
長田 健介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助教 (10396947)
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Keywords | がん治療 / 高分子ミセル / ドラッグデリバリー / 遺伝子治療 / 化学療法 |
Research Abstract |
本研究では、薬剤・遺伝子デリバリーのための高分子ミセル型ナノキャリアを構築し、そのin vitroおよびin vivo評価を通じてキャリア設計の最適化を行った。まず、オキサリプラチン活性体DACHPtを内包した高分子ミセルに関しては、前年度までにオキサリプラチン耐性がん細胞に対する優れた薬効が確認されたために、本年度は細胞内環境におけるミセルからのDACHPtのリリース、蛍光標識ミセルの細胞内分布および腫瘍内分布の解析、細胞内Pt量およびDNA結合Pt量の定量、薬効関連分子の遺伝子発現解析を行った。その結果、DACHPt内包ミセルは、エンドサイトーシスによって細胞内に取り込まれ、核近傍の後期エンドソーム/リソソームで選択的にDACHPtを放出することによって、細胞質内のmetallothionein等による白金の解毒メカニズムを回避し、耐性がんに対して優れた薬効を示すことが示唆された。次に、遺伝子内包高分子ミセルに関しては、低毒性で高効率の遺伝子導入を可能にするPEG-PAsp(DET)ブロック共重合体のPAsp(DET)末端にコレステリル(Chol)基を導入したPEG-PAsp(DET)-Cholを合成し、そのin vitroおよびin vivo機能評価を行った。その結果、Chol基の導入によってポリマーのプラスミドDNA(pDNA)との会合力が高まり、pDNA内包ミセルは希釈下においても効率的な遺伝子発現を示すことが確認された。さらに、in vivo評価において、Chol基を導入したミセルはより高い血中滞留性を示し、可溶型VEGF受容体(sFlt-1)の遺伝子デリバリーにより膵がんモデルに対する有意な制がん活性が確認された。
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Research Products
(35 results)