2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 誠 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70281714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 正博 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60362464)
北村 剛規 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378622)
園下 将大 京都大学, 医学研究科, 助教 (80511857)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 遺伝子改変マウス / MMP7 / mTORC1 |
Research Abstract |
(1)Apc/Smaad4複合変異マウスの腺癌で見られるMMP7の発現増加が、このマウスにおける腺癌形成に関与する可能性を検証するため、Mmp7ノックアウトマウスとApc/Smad4複合変異マウスを交配しトリプルノックアウトマウスを作出した。このApc/Smad4 : Mmp7複合変異マウスを詳細に解析した結果、MMP7はApc/Smad4複合変異マウスにおける腺癌の形成(ポリープの数・大きさ)に寄与しているが、形成された腫瘍における浸潤深達度、間質増生には必須ではないことが明らかとなった。(2)Lkb1+/-マウスの肝臓に発症する前癌病変部や肝細胞癌では炎症性サイトカインinterleukin-6(IL-6)の発現が正常部に較べて上昇していることが、免疫組織学的手法により明らかとなった。IL-6の発現は、肝臓の間質細胞に相当するオバール細胞、単球、クッパー細胞において特に強く認められ、肝細胞の前癌病変部ではIL-6の下流シグナルであるSTAT3のリン酸化、核移行が確認できたことから、間質細胞からのIL-6がLkb1+/-マウスの肝臓病変の進展に関与している可能性が示唆された。(3)ヒト大腸癌細胞株のβ-cateninをsiRNAを用いてノックダウンしたところ、mTORのタンパクレベルでの発現低下を伴ってmTORC1シグナル経路が抑制されたことから、Wntシグナル経路がmTORの発現レベルの調節を介してmTORC1シグナルを制御すると考えられた。また、ApcΔ716マウスの腫瘍におけるVEGF、bFGF、IGF、COX-2等の血管新生促進因子の発現レベルについては、プラセボ投与群、RAD001投与群の間で有意な差が認められず、RAD001が血管内皮に直接作用するちとで腫瘍内の血管新生を抑制した可能性が示唆された。
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