2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 誠 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70281714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 正博 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60362464)
北村 剛規 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378622)
園下 将大 京都大学, 医学研究科, 助教 (80511857)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 遺伝子改変マウス / mTORC1 |
Research Abstract |
1. Apc/Smad4複合変異マウスの腸管に生じる腺癌では、癌細胞の著しい浸潤と間質増生が認められる。cDNAマイクロアレイ法により、Apc/Smad4マウス腺癌ではCd177遺伝子の発現がApcマウスの腺腫に比べて上昇していることを見出した。腸癌形成課程におけるCD177の役割を明らかにするため、Cd177変異マウス、更にApc/Smad4/Cd177トリプル複合変異マウスを作出した。このトリプル複合変異マウスの腸癌をApc/Smad4マウスの腸癌と比較したところ、浸潤の深さや間質増生には差を認めなかったが、トリプル複合変異マウスの小腸腺癌ではApc/Smad4複合変異マウスに比べて杯細胞が約20%に減少していた。これらの結果から、CD177は腸癌上皮細胞の悪性化ではなく、腺腫上皮細胞の分化に関与している可能性が示唆された。 2. 前年度までに、Apcマウスの腸腺腫上皮細胞ではmTORC1が活性化しており、mTORC1阻害薬であるrapamycin誘導体RAD001の投与によって、Apcマウスの腫瘍形成が抑制されることを示した。本年度は、mTORC1の抑制が良性の腸腺腫だけでなく悪性腸癌の形成をも抑制できるかどうかを明らかにするため、Apc/Smad4複合変異マウスにRAD001を投与した。ApcマウスにRAD001を投与した場合と同様にこのマウスの生存率は著しく改善され、特に直径2mm以上の大きな腫瘍の形成が抑制されることが分かった。これらの結果から、mTORC1阻害は大腸の良性腺腫だけでなく、悪性腺癌の治療戦略となり得る可能性が示された。また、Apcマウスの腸管腫瘍上皮細胞ではmTORC1経路とJNK経路が同時に活性化されており、ApcマウスにJNK阻害薬SP600125を投与すると、mTORC1経路の不活化に伴って腸管腫瘍形成が抑制されることを見出した。
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Research Products
(24 results)