2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん増殖・転移におけるバイオイメージングとターゲティング型DDS開発
Project/Area Number |
17016035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 富義 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (30243041)
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (40273437)
川上 茂 京都大学, 薬学研究科, 助教 (20322307)
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Keywords | がん / 活性酸素消去酵素 / NFκB / DDS / イメージング |
Research Abstract |
本年度は、これまで確立してきたがん増殖・転移のバイオイメージングシステムならびにターゲティング型DDS製剤を用いて、担がんモデルマウスを用いた治療効果の評価を行った。がんの増殖・転移の過程において局所での活性酸素の発生によるNFκB活性化、接着分子の発現ならびに炎症性サイトカインの産生が大きな原因であることが知られている。そこでカタラーゼの腹腔内滞留性増大を目的にカチオン性を付与した活性酸素消去酵素カタラーゼ(EDカタラーゼ)のハイドロゲル複合体を調製し、がん細胞の腹膜播種治療を試みた。複合体を腹腔内に投与後、腹腔内カタラーゼは、14日後も投与量の約10%が滞留し、EDカタラーゼ単独投与の場合と比較し有意なカタラーゼ滞留性の増大が認められた。さらに、腹腔内がん細胞増殖をイメージングにより評価したところ、複合体投与による有意な増殖抑制効果が認められた。更に複合体投与により生存期間延長効果が認められた。次に、カタラーゼの活性酸素消去による抗炎症作用を利用し、抗がん剤シスプラチン誘発性腎炎抑制を目的とした新規シスプラチンEDカタラーゼ併用療法の開発をおこなった。まず、EDカタラーゼの静脈内投与後の腎集積を切片により確認したところ、未修飾カタラーゼと比較しEDカタラーゼの有意な腎集積増大が認められた。さらにシスプラチンとEDカタラーゼの併用により、シスプラチン誘発性の腎炎抑制効果ならびにシスプラチンによる急性死抑制効果が認められた。最後に、レチノイン酸誘導体を用いた新規がん分化誘導療法の開発のための基礎的検討をおこなった。レチノイン酸は脂溶性の高さから単独では血中へ投与不可能であるため、レチノイン酸封入エマルションを調製したところ、平均粒子径約175nmで高い封入効果が認められた。更に血中滞留性増大を目的にPEG修飾レチノイン酸封入エマルションを調製したところ平均粒子径はほぼ同じ178nmの粒子が調製できた。
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Research Products
(4 results)