2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん増殖・転移におけるバイオイメージングとターゲティング型DDS開発
Project/Area Number |
17016035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 充 Kyoto University, 薬学研究科, 教授 (20135594)
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Keywords | 癌 / DDS / 薬物キャリア / 免疫療法 / CpGオリゴ / 分化誘導量表 / レチノイン酸誘導体 |
Research Abstract |
まず、癌細胞選択的な薬物送達を可能にする新規抗癌剤キャリアの開発を行った。癌細胞の表面に高発現するMUC1に対して選択的に結合するアプタマーを、多数の官能基を有し、抗癌剤の有効なドラッグキャリアであるデンドリマーと結合させた。次に、アプタマー修飾デンドリマーを蛍光標識し、MUC1(+)のA549細胞またはMUC1(-)のcolon26細胞と培養したところ、A549細胞にのみ高い取り込みが確認された。蛍光顕微鏡観察により細胞膜上のMUC1との結合だけでなく、細胞内へ取り込まれていることも確認した。また、ドラッグデリバリーシステム(DDS)を利用した癌の分化誘導療法および免疫療法の確立を行った。癌細胞に対して選択的にアポトーシス誘導が可能な低分子化合物であるレチノイン酸の誘導体をリポソームまたはエマルションに封入し、担癌マウスに投与したところ、腫瘍径の減少ならびに生存期間の延長が可能になった。しかしながら、抗癌剤などにみられる体重減少などの強い副作用は認められなかった。また、癌の免疫療法に関しては、免疫担当細胞であるマクロファージや樹状細胞に高発現するマンノースレセプターに認識されるマンノースをリガンドとして修飾したマンノース修飾カチオン性リポソームとCpGオリゴの複合体を調製し、癌細胞の腹膜播種モデルマウスに腹腔内投与、肺転移モデルマウスに経鼻投与したところ、IFN-□などのサイトカイン産生の増大が確認され、癌細胞の増殖および転移抑制ならびに生存期間が延長した。マンノース修飾量子ドットを作成し、癌細胞腹膜播種モデルマウスへ腹腔内投与したところ、量子ドットはマクロファージ選択的に取り込まれ、担癌モデルマウスにおけるマクロファージの分布や動態を可視化することができた。以上、癌細胞選択的な薬物送達法の開発ならびに治療法への応用展開を行った。
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Research Products
(7 results)