2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍低酸素を標的とした生物学的および物理工学的新規放射線治療戦略
Project/Area Number |
17016036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 眞寛 京都大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 講師 (90314210)
澁谷 景子 京都大学, 医学研究科, 助手 (50335262)
近藤 科江 京都大学, 医学研究科, 助教授(COE) (40314182)
原田 浩 京都大学, 医学研究科, 助手(科学技術振興) (80362531)
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Keywords | 放射線治療 / 低酸素がん細胞 / がん治療 / 標的特異性 / イメージング / 標的治療 |
Research Abstract |
固形腫瘍内には、血管の不完全な構造と不規則な分布およびがん細胞の無秩序な増殖に起因する低酸素領域が存在する。その領域のがん細胞は、放射線感受性が著しく低下するため、癌の放射線治療成績不良の一因とされている。また近年、低酸素環境で特異的に発現が誘導される遺伝子の機能が、腫瘍増殖、血管新生、転移といった腫瘍全体の悪性化を促進することが報告されている。事実、子宮頸癌、頭頚部癌等の腫瘍内酸素分圧測定を施行した国内外の臨床研究において、低酸素分画の多寡と治療効果や生命予後との間に強い相関が報告されている。一方、治療抵抗性を示す低酸素は正常組織には存在しないため、翻って考えれば、腫瘍特異的な治療標的と成り得る。我々は、独自のアプローチにより低酸素を標的とする新規治療法として、低酸素刺激により遺伝子発現が誘導されるベクターシステムの開発、および酸素依存性の蛋白分解経路を応用した低酸素指向性融合タンパク質の開発を行ってきており、動物実験レベルにおいて放射線治療効果の増強が示されつつある。昨年までに、低酸素領域で発現する蛍光タンパク質やルシフェラーゼによる化学発光を利用したリアルタイムイメージングにより、標的である低酸素がん細胞を可視化する系を構築できたことを報告した。本年度は、このリアルタイムイメージング系と低酸素指向性融合タンパク質を用いることにより、固形腫瘍内における標的を如何に最小限に抑え、放射線治療効果を改善することができるかを検討した。その結果、放射線照射前に低酸素領域を押さえることに加えて、放射線照射後に活性化される低酸素誘導性転写因子HIF-1の活性を押さえる事が、放射線の抗腫瘍効果を相乗的に高めることが分かった。 また、物理工学的アプローチでは、前立腺癌手術例のステップセクションの解析による線量集中プラン作成用のCT画像モデルの構築と二次元線量分布測定システムの精度検証を実施した。
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