2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍低酸素を標的とした生物学的および物理工学的新規放射線治療戦略
Project/Area Number |
17016036
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 眞寛 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (70173218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 科江 京都大学, 医学研究科, 教授 (40314182)
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 講師 (90314210)
澁谷 景子 京都大学, 医学研究科, 助教 (50335262)
板坂 聡 京都大学, 医学研究科, 助教 (90378654)
原田 浩 京都大学, 医学研究科, 講師 (80362531)
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Keywords | 低酸素 / イメージング / 強度変調放射線治療 / 蛋白質製剤 / 同所性移植モデル |
Research Abstract |
固形腫瘍内に常在する低酸素環境下では、放射線感受性が著しく低下するため、腫瘍低酸素はがんの放射線治療成績不良の一因とされている。また近年、低酸素依存的転写因子HIF-1により誘導される遺伝子の機能により、腫瘍増殖、血管新生、転移を促進することが報告されている。一方で、治療抵抗性を示す低酸素は通常、正常組織には存在せず、腫瘍特異的な治療標的と成り得るため、本研究では、低酸素環境下にあるがん領域を標的とした治療法の開発を目指してきた。平成21年度は、これまでの研究成果を臨床応用することを最終目的として、生物学的および物理学的アプローチを用いて以下の3つの研究を行った。 1) 臨床で使われている放射線線量の照射により変化する腫瘍内HIF-1活性の変動をモニターする事により、放射線治療効果を高める照射タイミングの検討を行い、低酸素指向性融合タンパク質や化学療法剤との併用時の最適な治療タイミングをモニターしながら治療効果を上げる条件検討を行った。 2) 低酸素指向的融合タンパク質の臨床応用に向けて、基礎的治療実験と問題点の解決に向けての対策を行う。低酸素指向的融合タンパク質の臨床応用については、製剤化のための問題であった良質の融合タンパク質の大量生産、抗原性試験、標的特異性を検証し、良好な結果を得た。今後トランスレーショナルリサーチを行うための準備をする予定である。 3) 前立腺癌モデルにおける擬似低酸素領域へのIMRTを用いた線量増加プランでは、実測値と比較して、通常の線量計算アルゴリズム(PBC)では5-8%程度の誤差が部分的に生じ、高位の線量計算アルゴリズム(AAA)で誤差が減少することを確認し、このような治療計画に際してはAAAの使用が適切であることを明らかにした。さらに本技術の臨床適応に向けてた基盤整備として、ターゲットの動きの影響や動きに対処する治療計画法、照射法に関する検討・技術開発を行った。
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