2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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Keywords | 白血病 / チロシンキナーゼ / アポトーシス / リンパ腫 / 遺伝子変異 / シグナル伝達 / 造血 |
Research Abstract |
造血細胞の増殖・分化・死は、造血因子・受容体システムなどにより制御されている。これらの制御機構の破綻により白血病が生ずるが、特に、c-kit受容体チロシンキナーゼ(KIT)やFLT3活性化変異は白血病の原因となる。KITの細胞内Tyr残基をPheに置換したミュータントを用いて下流シグナルについて検討した。KITのTyr567はsrc型チロシンキナーゼ(SFK)の結合部位であるが、SFKの下流にはGab2が存在しShp-2を介してRac/JNK経路を活性化し増殖を制御していることが明らかとなった。 一方、我々は、各種サイトカイン刺激により発現が誘導される新規抗アポトーシス分子Anamorsin(AM)を見いだした。AMは造血細胞の生存に必須の分子でありAM欠損マウスは胎生後期に造血障害にて死亡した。野生型(AM^<+/+>)ならびにAM欠損(AM^<-/->)マウスから胚性線維芽細胞(MEF)を作製し増殖能や細胞周期を解析すると、MEFおいてもAM欠損細胞は有意に増殖能が悪くS期の細胞が著減していた。この増殖能の低下は、抗酸化剤のN-アセチルシステイン(NAC)を投与することで回復し、活性酸素種(ROS)の関与が示唆された。また、AMに結合する蛋白をtwo hybrid法を用いて検討し、PlCOT(PKC-interacting cousin of thioredoxin)を同定した。PlCOTは各臓器にユビキタスに発現されている分子量37.5kDaの蛋白であり、チオレドキシン様領域、PICOTホモロジー領域1、2から構成されるが、in vivoにおいてもチオレドキシン領域にてAMと結合していた。さらに、AMの発現を各種B細胞リンパ腫において検討すると、リンパ腫の一部にAMの高発現群が存在し予後との関連がみられることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)