2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17016043
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70207728)
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Keywords | 癌免疫療法 / ケモカイン / アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / サイトカイン / レトロウイルスベクター / 高分子ハイブリッド化 / 養子免疫療法 |
Research Abstract |
本研究は、癌免疫療法において癌細胞の排除に中心的な役割を果たす免疫担当細胞を薬物として捉え、それら細胞の体内動態を制御し、標的組織へ効率よくターゲティングすることによる効果的な癌免疫療法を達成するためのDDSを確立しようとするものである。本年度は、(1)「ケモカインおよびサイトカイン発現アデノウイルスベクター(Ad)による癌免疫遺伝子治療実験」、(2)「免疫系細胞への高効率遺伝子導入法の確立と養子免疫療法への展開」、(3)「腫瘍組織移行性に優れたバイオコンジュゲート化Adの創製と癌免疫遺伝子治療への応用」について検討した。 (1):Meth-A腫瘍に対して、Ad-IL-12とAd-CCL27を併用することで各単独投与を上回る抗腫瘍効果増強作用が得られた。さらに、長期的な腫瘍細胞特異的な免疫系と転移癌に対する治療効果をも誘導可能であることを明らかにした。さらにAd-IL-12とAd-CCL27の併用による抗腫瘍増強メカニズムには、CD8+T細胞依存的な獲得免疫系が寄与していること、さらにそれらエフェクター細胞群の活性化と腫瘍内への動員に基づくことを明らかにした。 (2):マウスT細胞に対しては、どのベクターを用いても高い遺伝子発現が得られなかったが、レトロウイルスベクターで遺伝子を導入し、ソーティング後に増幅培養することで、目的遺伝子を導入したT細胞が調整可能であることを明らかにした。現在、本方法を用いてケモカインレセプター遺伝子を導入したT細胞の体内動態を検討中である。 (3):PEG修飾Adの体内動態制御において、PEG分子量20,000、修飾率45%のPEG-Adが、全身投与における腫瘍での遺伝子発現増強と肝臓への集積性の低減並びに遺伝子発現抑制を共に充たし得るベクターであることを明らかとした。 今後、これらの結果を基に免疫細胞の体内動態制御に基づく癌免疫療法の最適化を図る。
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