2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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Keywords | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ系 / MEK阻害剤 / チューブリン重合阻害剤 / Xenograft / 併用療法 / PI3キナーゼ / Akt系 |
Research Abstract |
1.ERK-MAPキナーゼ系遮断剤(MEK阻害剤、PD184352等)とチューブリン重合阻害剤(TZT-1027等)の併用による抗腫瘍効果増強に関しては、ヒト大腸がん由来細胞株(HT29)をヌードマウスに移植したXenograft系において、薬剤処理期間を6週間にまで延長して繰り返し検討した。その結果、MEK阻害剤単独処理では有意な抗腫瘍効果が認められなかったが、TZT-1027と併用する事で極めて顕著な抗腫瘍効果の増強(腫瘍組織の著しい脱落)を再現性よく確認した。上記条件下では、マウスの体重減少,様々な組織に対する障害等が認められず、上記薬剤併用が有効ながん化学療法となる可能性が強く示唆された。 2.MEK阻害剤と併用する事で細胞死誘導効果が増強される薬剤として、新たにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤を見いだした。上記併用効果は、ERK-MAPキナーゼ経路が恒常的に活性化されているがん細胞においてのみ認められ、HDAC阻害剤単独では細胞死誘導がほとんど認められない低濃度領域において特に顕著であった。また、そこでは顕著な活性酸素(ROS)の蓄積が認められ、抗酸化剤でそれを消去すると細胞死が完全に抑制される事より、上記薬剤併用による細胞死誘導のmediatorとしてROSが重要な役割を果たしている事を明らかにした。 3.ERK-MAPキナーゼ経路と同様、多くのがん細胞においてその恒常的活性化が認められるPI3キナーゼ/Akt経路について、その選択的遮断が効果的ながん化学療法の開発につながる可能性を検討した。その結果、PI3キナーゼ/Akt経路の恒常的活性化が認められるがん細胞において特徴的に、その選択的遮断が特に低濃度のDoxorubicinの細胞死誘導効果を顕著に増強する事,そこではp53が必須の役割を果たしている事を見いだした。
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Research Products
(6 results)