2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016056
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
|
Keywords | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ系 / MEK阻害剤 / 微小管重合阻害剤 / HDAC阻害剤 / PI3キナーゼ / Akt系 / 併用療法 |
Research Abstract |
1.ERK-MAPキナーゼ系遮断剤と微小管重合阻害剤の併用による抗腫瘍効果増強に関しては、MEK阻害剤として新たにPD0325901を合成し、がん細胞としてはヒト大腸がん由来細胞株、HT29(Raf変異)の他にヒト繊維肉腫由来細胞株、HT1080(Ras変異)を利用したXenograft系によって解析を進めた。その結果、(a)PD0325901はPD184352と比較して10倍程度強力にがん細胞の増殖を抑制する事、(b)HT1080細胞に対して各MEK阻害剤は単独で有意な増殖抑制効果を示したが、それはHT29細胞の場合と同様、低濃度のTZT-1027との併用によって大幅に増強される事を確認した。なお、上記条件下、マウスの体重減少、様々な組織障害等はほとんど認められなかった。これより、上記薬剤併用はERK-MAPキナーゼ系の機能亢進が認められる「がん」に対して、真に有効ながん化学療法を提供するものと考えられる。一方、上記薬剤併用処理したがん細胞において特徴的に、Cyclin Bの異常蓄積、Nucleophosminのリン酸化亢進(Ser^4、Thr^<199>)、中心体形成異常、それに伴うM期延長が認められ、これらが契機となって顕著な細胞死が誘導される可能性が示唆された。 2.ERK-MAPキナーゼ経路と同様、多くのがん細胞においてその機能亢進が認められるPI3キナーゼ/Akt経路について、その選択的遮断が効果的ながん化学療法につながる可能性を検討した。その結果、LY294002等でそれを選択的に遮断した際、微小管重合阻害剤の細胞死誘導効果が極めて顕著、かつ選択的に増強される事を明らかにした。次いでその分子機構の解析を進め、PI3キナーゼ/Akt経路の遮断がGSK-3βの脱リン酸化(活性化)を誘導し、それが微小管結合タンパク(MAPs)をリン酸化する事でがん細胞の微小管構造が不安定され、これが微小管重合阻害剤に対する感受性増強につながる事を見いだした。
|
Research Products
(6 results)