2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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Keywords | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ経路 / MEK阻害剤 / 微小管重合阻害剤 / HDAC阻害剤 / 併用療法 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
1.培養細胞系での解析より明らかになったERK-MAPキナーゼ経路遮断剤(MEK阻害剤)と微小管重合阻害剤、あるいはHDAC阻害剤の併用による抗腫瘍効果増強に関しては、それらの「がん治療」における有効性を確認する目的で、HT-29(Raf変異)、HT1080細胞株(Ras変異)を利用したXenograft系での検討を進めた。その結果、微小管重合阻害剤(低濃度)との併用では再現性良く極めて顕著な抗腫瘍効果(腫瘍塊の消失)を認め、それが副作用を軽減した、真に有効ながん化学療法となり得ることを確認した。一方、HDAC阻害剤との併用に関しては、検討したヒドロキサム酸誘導体(K-32)それ自身の抗腫瘍効果が微弱であったこともあり、現時点において有効性を確認するに至らず、これは次年度の最重要検討課題として残った。 2.MEK阻害剤と微小管重合阻害剤の併用による抗腫瘍効果増強の分子機構に関しては、(i)がん細胞におけるERK-MAPキナーゼ経路の機能亢進が、CENP-Eなどのリン酸化を介して紡錘体チェックポイントの機能抑制に連動すること、(ii)MEK阻害剤処理によって紡錘体チェックポイント機構の抑制が外れ、これががん細胞の微小管重合阻害剤に対する大幅な感受性増強に繋がることを見出した。 3.MEK阻害剤とHDAC阻害剤の併用による細胞死誘導増強の分子機構に関しては、(i)ERK-MAPキナーゼ経路の下流で発現誘導される遺伝子に活性酸素種(ROS)の消去系で機能するGlutathione peroxidase(GPx)が含まれること、(ii)HDAC阻害剤との併用でGPxの発現が顕著に抑制され、それが上記薬剤処理におけるROSの顕著な蓄積に繋がり、これが細胞死誘導のmediatorとして機能することを見出した。
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Research Products
(5 results)