2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 恵一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50252466)
谷村 進 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90343342)
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Keywords | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ経路 / MEK阻害剤 / 微小管重合阻害剤 / HDAC阻害剤 / 併用療法 / 動物個体系 |
Research Abstract |
1. ERK-MAPキナーゼ経路遮断剤(MEK阻害剤[PD184352])と微小管重合阻害剤(低濃度のTZT-1027等)の併用による抗腫瘍効果に関しては、HT-29(Raf変異)、HT1080(Ras変異)細胞株を利用したXenograft系での解析において、極めて顕著な増殖抑制、さらに腫瘍萎縮効果を認め、両薬剤併用が有効ながん化学療法に繋がる可能性を、動物個体レベルで確認した。一方、両薬剤併用による細胞死誘導の分子機構に関しては、(i)ERK-MAPキナーゼ経路が紡錘体チェックポイントの機能を負に制御する、(ii)MEK阻害剤によるERK-MAPキナーゼ系の遮断は紡錘体チェックポイントの感受性を増強し、その結果として低濃度の微小管重合阻害剤によっても顕著なM期停止が誘導される、(iii)長時間M貴に停止された癌細胞では細胞内カルシウム濃度の持続的上昇を介して小胞体ストレスが誘導され、これがJNKの活性化、細胞死誘導に繋がることを明らかにした。 2. MEK阻害剤とHDAC阻害剤(低濃度のヒドロキサム酸誘導体[MS-275])の併用は、GefitinibあるいはImatinibに対して抵抗性を獲得したがん細胞に対しても、極めて顕著な細胞障害効果を示した。さらに、Gefitinib耐性ヒト肺がん由来細胞株、H1650細胞を利用したXenograft系において、上記薬剤併用は顕著な増殖抑制効果を示した。すなわち、本併用療法は難治性がんに対しても有効に機能することを見出した。そこでは、ミトコンドリア膜透過性に関わるBH3 only protein(Bim, Bik等)の発現亢進、Bimの安定化、さらにGlutathione peroxidaseの発現抑制が誘導され、これらが相乗的に作用して顕著な活性酸素種(ROS)の蓄積に繋がり、これが細胞死誘導のmediatorとして機能することを明らかにした。
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Research Products
(6 results)