2005 Fiscal Year Annual Research Report
IAPと軟部腫瘍染色体転座産物を標的とした癌ワクチン開発
Project/Area Number |
17016061
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50158937)
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Keywords | 癌ペプチドワクチン / IAP / サバイビン / リビン / SYT-SSX / 免疫モニタリング / HLAクラスI / エピジェネティクス |
Research Abstract |
1)ヒト癌抗原同定とCTLエピトープを決定し、第1相臨床試験を目指した。具体的には(1)IAP(inhibitor of apoptosis proteins)であるサバイビン由来のHLA-A24拘束性ペプチド(2Bペプチドと命名)を大腸癌等で、(2)またIAPリビン由来のHLA-A24拘束性ペプチド(L7ペプチドと命名)を腎癌等で、さらに(2)滑膜肉腫染色体転座由来HLA-A24拘束性SYT-SSXペプチド(Bペプチドと命名)を同肉腫患者で臨床試験を遂行させ、癌ワクチンとしての安全性と有効性検定の第1相臨床試験を終了することを目的とした。また、2)Bioinformaticアプローチ、すなわち腫瘍の症例総数5000例、正常組織500例のデータベースより腫瘍抗原の同定を目的とした。 その結果、(1)IAPサバイビンが多くの腫瘍で高い発現率を示すこと、およびサバイビン由来2Bペプチド(AYACNTSTL)がHLA-A24拘束性CTLエピトープとなっていることが判明したため、第1相臨床試験を開始した。副作用はみられず7/15例の大腸癌患者、乳癌4/14例、6/13例肺癌患者で腫瘍マーカーの減少、画像上の腫瘍縮小傾向などの臨床的応答がみられた。(2)SYT-SSX由来Bペプチド(GYDQIMPKK)についても第1相臨床試験を続行した。副作用はみられず、2/6例でテトラマー解析での免疫応答がみられた。3)Bioinformaticsを利用した網羅的解析によって5種類のこれまでに報告のない新規蛋白質を同定した。 またごく最近我々はパラフィン標本で染色可能な抗HLA-A、B、C単クローン抗体EMR8-5、及び抗βミクログロブリン(β2-MG)EMR B6を開発した。驚くべきことに乳癌、前立腺癌で80-90%もHLA-クラスIが発現を大きく低下させ、特にβ2-MGの発現消失が著しいことをつきとめた。この原因のひとつとして遺伝子メチル化等のエピジェネティックな制御機序の可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)