2007 Fiscal Year Annual Research Report
IAPと軟部腫瘍染色体転座産物を標的とした癌ワクチン開発
Project/Area Number |
17016061
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 昇志 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (50158937)
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Keywords | CTL / 癌ワクチン / ペプチド / HLA / HSP / 抗癌原 / HDAC / テトラマー |
Research Abstract |
今年度は以下のような研究成果を得た. 1)HLA-A24が提示するサバイビン蛋白由来のペプチド(サバイビン2Bペプチド)の臨床試験の継続,遂行した。大腸がん,膀胱がん等で30-50%の症例で腫瘍マーカーの低下等,臨床効果を認めた。サバイビン2Bを投与された患者ではテトラマーで検出されるCTLの頻度が増していた。膵臓がんではINFアルファを併用するプロトコールで著明な臨床効果とテトラマー,ELISPOT解析でペプチド特異的CTL誘導効果もみとめた。滑膜肉腫SYT-SSX融合蛋白を標的としたSYT-SSXBペプチドについてはアグレトープ改変型ペプチドK9Iの臨床試験が完了したが,明らかな臨床効果,免疫学的効果は見られなかった。 2)新たに5種類の新規癌抗原Lengsin(glutamine synthase domain containing 1),AMACR(α-Methylacy1-CoA racemase),C20orf42(Chromosome 20 open resding frame 42),C10orf3(CEP5)(Chromosome 10 open reading frame 3),HIF-PH3(hypoxia-inducing factor-phosphatase 3)を同定し,これらの蛋白由来のHLA-A24拘束性ペプチド`も決定した。3)乳癌と前立腺癌でHLAクラスI分子の発現率が20%以下と驚くべき結果を得たが,乳癌で詳しい解析を行なったところB2Mとヒストン脱アセチル化(HDAC)はほぼ100%相関を示した。これらはHDAC阻害剤バルプロン酸(VPA)によりin vitro,in vivoいずれでもその回復をた。 3)抗原ペプチドの免疫原性の増強に分子シャペロンと結合させた分子シャペロン複合型ペプチドがCTLの誘導に効果的である事を癌抗原ばかりでなく,ウイルス抗原にも適応されることを以前から示してきた。特にHSP70などに比較してHSP90分子シャペロンがきわめて有効である。今年はその機構を解析した。すなわちHSP90分子シャペロン複合型ペプチドはエンドソームに入るが,すぐにlate endosomeに移行するのではなく,最近明きあらかにされつつあるいわゆるstatic endosomeにとどまり,その後recycling HLA class Iにペプチドをトランスファーすることが示唆された。
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