2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17016070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河上 裕 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 知信 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20199334)
松崎 ゆり子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40255435)
桜井 敏晴 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20101933)
塚本 真 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50365441)
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Keywords | 腫瘍抗原 / 免疫療法 / DNAチップ / RNA干渉 / 樹状細胞 / 制御性T細胞 / 免疫回避 |
Research Abstract |
腫瘍抗原の同定では、GeneChipを用いた網羅的遺伝子解析により、新規ヒト腫瘍抗原候補を多数同定した。そのうちの一つは肺癌、悪性黒色腫、膵癌などで高頻度に発現がみられ、患者血清中に特異IgG抗体が検出できる腫瘍抗原であることが判明した。前年度SEREX法で単離した癌精巣抗原の発現解析を行い、膵癌だけでなく子宮体癌・肺癌等にも高率に発現し、血清中に特異IgG抗体が認められることを確認した。前年後に新規HLA-A24結合ペプチド予測プログラムとHLA-A24遺伝子導入マウスを用いて同定したT細胞エピトープを用いて、in vitroヒトT細胞誘導法により、ヒトでもT細胞エピトープになることを確認し、本法がヒトT細胞エピトープ同定に有用であることを明らかにした。RNAiを用いて、前年度同定した腫瘍抗原が、増殖・生存・浸潤などの癌の悪性形質に関与することを明らかにし、腫瘍抗原消失が起こりにくい免疫療法に有用な標的である可能性、また分子標的治療の標的にもなる可能性を示した。がん細胞の免疫回避機構として、メラノーマでBRAF突然変異により活性化されているMAPK経路は、免疫抑制性可溶性分子の産生にも関与することを明らかにした。これは癌細胞の遺伝子異常が癌の増殖浸潤だけでなく、免疫抑制に直接関与することを示す重要な知見であり、今後、分子標的治療薬を用いた免疫回避の克服・免疫療法の改良につながると考えられる。さらに、担癌生体における免疫抑制性の制御性T細胞(T-reg)の抗原特異的誘導機構を解明するために、T-regが存在しないT細胞受容体(TCR)遺伝子導入マウスに、MHCクラスII結合ペプチドを各種方法で投与することにより、T-regが抗原特異的に誘導されるモデルを作製した。今後、T-reg制御法の開発に有用と考えられる。
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Research Products
(15 results)